賃金の減額について(4)

今回は、業務上のミスが多い、勤務態度が悪いなどのいわゆる問題社員への対応について、お話いたします。これまでの話のまとめのような内容です。

まず、ご相談として多いのが賃金の減額ができないか、というところです。

原則として給与の減額は労働条件の不利益な変更ですので、労働者の同意がなければできません。この場合は、労働者に減額する理由をきちんと説明し、同意を得るようにします。

次に、職種変更や降格などの会社の人事権を行使することが考えられます。

人事権行使については会社に裁量が認められておりますので、権利の濫用と判断されない限りは、降格などとセットで給与の減額も有効に行えます。

もっとも、権利濫用と判断されるリスクもありますので慎重な判断が必要になります。一般的には、役職がなくなったことによる役職給カットは有効と認められやすく、降格にともなう基本給の減給は無効と判断されやすいといえます。

 

次に、懲戒処分をする、ということも考えられます。

ただ、懲戒処分として減給する場合には、就業規則などに懲戒事由や処分の内容が記載されていないとできませんし、減給という処分に見合う事情があるかどうかなどを厳しくチェックする必要があり、それなりにハードルが高いといえます。

また、懲戒処分としての減給には、労働基準法に上限額が定められておりますので注意が必要です。

その後の紛争を回避するため、いずれの手段でも共通していえることは、労働者には理由を説明して、同意を得られるように手続きを踏む、ということになります。

 

日々の雑感

先日、ブライドルレザー製の革製品をネットで購入しました。ブライドルレザーは、「ブルーム」といって革の油脂成分などが革の表面で凝固化し白くなったものが付着しているのが特徴で、ブルーム自体は使っているうちに消えていくのですが、この過程で革製品の変化も楽しめるので、革好きの人はブルームをブラシなどで落とさずにあえてそのまま使用したりもします。

ただ、私が購入した製品は、かなり濃い目のブルームが付いており、製品自体の色はブラウンなのですが、どうみても白にしか見えないのです。

このまま使うか、多少ブルームを落としてから使うか思案中ですが、とりあえず革製品の独特のにおいが好きなので、部屋に置いておくだけでも満足です。                                                            (2023年12月19日  文責:下田 和宏)