英文契約書のアレコレ(2)
当職前号から引き続き、『英文契約書のアレコレ』と題しまして、英文契約書を読む際に少しだけ役に立ちそうな豆知識や単語などを紹介していきたいと思います。
今回は、材料ではない、重大な、materialのお話です。
英文契約書を読んでいると、頻出するけれども意味がつかみにくい単語の一つに、materialという言葉があります。
「マテリアル」といえば、日本語でも文具や建築資材、印刷の原稿など、「素材」「材料」といった意味で使われるのが一般的です。
しかし、契約書の中でこの単語が出てきたとき、それが「木材」でも「原稿」でもないことが多いことは、皆様お気づきかとは思います。
Materialには「本質的に重要な、結果に影響を与えるような」という意味合いがあり、法律文書では、そのような意味合いで使われるようなことが多いです。
例えば、以下のように用いられます。
英文:Either party may terminate this Agreement upon written notice if the other party commits a material breach of this Agreement and fails to cure such breach within thirty (30) days after receiving written notice thereof.
和訳:一方当事者は、相手方が本契約に対する重大な違反を行い、その旨を書面で通知された後、30日以内に当該違反を是正しなかった場合には、本契約を解除することができる。
解除されたり、義務を負わされたりする側としては、要件が簡単に充足されないようmaterial(重要な)という文言を加えるよう交渉する場合もあります。
物好き弁護士のつぶやき
今年は、三島由紀夫氏が生誕して100年。
ということで、三島由紀夫氏関連のイベントが行われていますが、先日、東京文化会館を訪れ、三島由紀夫の作品と人生をテーマにしたバレエ作品、その名も「M」の公演を鑑賞しました。ラヴェルのボレロに振り付けをしたことで有名なモーリス・ベジャールが、東京バレエ団のために振り付けを考えたという、モダン・アート好きには溜まらないコラボレーションです。
私も決して熱心なファンというわけではないですが、ここの場面はあの作品かなというようなところが結構あり、楽しめました。 (2025年10月9日 文責:原田 大士)
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