英文契約書について

現在の国際間の取引では、英文契約書が用いられることが一般的となっています。英語圏同士の契約だけでなく、母国語が英語でない国同士の契約も英文契約書が使われています。

 

英文契約書はもともと、アメリカやイギリスの国内取引で使われていた契約書で、もとになる法律は英米法です。ですので、英文契約書の作成、チェックをする際には、日常英語やビジネス英語ができるというだけでは足らず、英米法の知識が必要となってきます。英米法は、日本の法律とはかなり異なりますので、ただ、日本の契約書を翻訳するというだけでは、英文契約書にはなりません

 

国内契約書と英文契約書の違い

契約書を作成するという目的は、「後々の紛争を防ぐ」ためで、これは国内契約書でも、英文契約書でも同じです。しかし、日本人は「何かあれば話し合いで解決しよう」と考えている人が多く、日本国内で交わされる契約書には、「紛争が発生した場合は、当事者間で協議する」という協議条項が入っていることが多く、内容も基本的なものにとどめ、契約書の分量も英文契約書と比べるときわめて少ないのが特徴です。日本国内の取引では、人と人との信頼関係に基づいて契約書が交わされているのです。

 

一方国際取引は、信頼関係ではなく、契約書の内容が全てです。国によって文化や法制度、商慣習が異なります。ですから、国際取引で交わされる英文契約書では、これらの違いから発生する誤解や紛争を防ぐために、取引条件を詳細に定めるようになっています。「口頭証拠排除原則」という英米法の法律原則の影響もあり、もし紛争が発生しても、契約書に記載されていないことは裁判の証拠として採用されないというのが基本です。そのため、トラブルが生じた際にどのように解決するかといったことも契約書に詳細に定められます。

 

国内契約書もできれば弁護士に依頼して紛争を防げるよう契約書を作っておくべきですが、英文契約書はより弁護士に依頼して作っておいたほうがよいといえるでしょう。