目次

1)契約書の役割

2)契約書作成のチェックポイント

3)契約書を書かないと損をする

4)契約書は、「ひな形」や「サンプル」では意味が無い?

5)提示されたら、弁護士に相談

6)当事務所の契約書の実績

1)契約書の役割

私は、企業の法務部門で長いこと仕事をしていました。 そんな中で感じたのですが、企業の現場の人間と、通常の弁護士とでは、契約の役割についての基本的な認識が違うように思います。

 

企業の現場では、契約というのはまず第一に当事者間の約束です。 従いまして、内容がよっぽどひどい場合はともかく、なにはともあれ当事者がそれでやろうと決めた以上、その内容で良いではないかということになり易いと思います。

 

これに対して、弁護士にとっての契約とは、紛争が生じた後に、紛争を解決するための基準であるとの認識が大きい様に思われます。 そうしますと、とりあえず当事者が合意している内容であっても、それが裁判のときに認められないとなると、必ず修正しなくてはいけないという発想になり易いようです。

 

これに対して、企業の現場の考えでは、例え裁判所では認められない可能性が高いとしても、取り敢えず当事者の約束として書いておけば、 通常の場合はそれを守ってお互いに取引をするのだから、何も契約から削る必要はないだろうという発想になります。

 

どちらの考えもそれぞれ理由があるのですが、こういうところにも、企業法務と弁護士の違いがあるようで、なかなか面白く感じています。

2)契約書作成のチェックポイント

その取引を具体的に想像してみる

まず、「どういう取引をやりたいのか」というところを、きちんと具体的に意識しておきましょう。
5W1Hという言葉がありますが、

 

①Who: 誰と誰が、
②Where: どこで、
③When: いつ(期間)
④What: 何を(目的物・サービス)、
⑤Why: どういう目的で取引し、
⑥How: どうやってその取引を行うのか

 

ということは、はっきりとさせておきましょう。
これらの点をはっきりさせておくことで、具体的に取引が想像でき、起こりそうな紛争を予想することができます。
 

起こりそうな紛争を予防し、処理方法を明確にしておく

起こりそうな紛争が想像できたら、今度はどのように定めればその紛争が回避できるかを考えてみるのです。
 
たとえば、当事者がそれぞれ離れた場所にいるような場合の売買取引では、その輸送の間に、事故等が発生して物がなくなり、その場合の代金支払いをしなければならないのかという点で紛争が生じることがありえます。
 
この紛争をあらかじめ予測し、売主ならば、契約書で「輸送を始めた段階で、その危険は買主に移転する。」という一言を入れておくだけで、売主は、代金の支払を受けられないリスクをなくすことができるのです。
 
また、よくあるのは、賃貸借契約終了後に、住んでいた人の物が、住居に残されていた場合の処理です。
 
勝手に捨ててしまうと、あとで紛争になりかねないので、たとえば契約書に、「明渡後に物件の残された物の所有権は、貸主に移転する。処分費用は借主の負担とする。」と記載しておけば、その後、勝手に借主の費用で貸主が処分しても、紛争にならないわけです。
 
契約書は、紛争がこじれないようにし、こじれた場合でも簡単に処理できるようにするためのものなので、起こりそうな紛争に対処するということが、とても重要なのです。
 

契約書の流用は危険

便利な世の中になり、インターネットを検索すると、契約書の書式を簡単にダウンロードできるようになっています。しかし、これらの書式は、誰が作ったものかわかりませんので、その条項がどういう意味なのか、誰も説明してくれません。
 
また、契約書はいずれかの立場に有利に記載されていることが多いのですが、どちらの立場に有利なのかが分からなければ、自分で作成した契約書が、自分にとって不利で思わぬ事態になることも想像できます。
 
また、インターネットに転がっている契約書のサンプルや、似たような企業の契約書を入手し、それを流用するということもあると思いますが、先ほど述べた、5W1Hが完全に対応している企業は存在しません。
 
そのため、発生しうる紛争も当然異なることになり、契約書を作成していても、巻き込まれなくてもよいはずの紛争に巻き込まれてしまうこともあるわけです。
 

弁護士に依頼するメリット

通常、弁護士は、法律の専門家ですので、生じうる紛争がわかれば、その処理の方法を考えることができます。
しかし、「どのような紛争が生じやすいのか」というところは、これまで契約書を作成してきた経験がなければ、なかなかわからないものです。
 
当事務所の弁護士は、これまで多くの契約書の作成に携わってきました。そのため、依頼者から、どのような取引をしたいのかというヒアリングをすれば、どういう紛争が生じやすいのかということをアドバイスし、そこに対処した契約書を作成することができます。
 

3)契約書を書かないと損をする

互いに信用があるから不要?

仲の良い企業との取引の場合、「信頼関係があるから、契約書なんかなくても大丈夫ですよ!」なんておっしゃる方、よくいらっしゃいます。
 
たしかに、信頼関係がある間は、契約書なんかなくても、きちんと取引できるんですよね。
 
でも、この先ずっと信頼関係が崩れないといえますか?企業は日々変化します。
 
担当者も変われば、社長さえ変わることもあるわけです。
 
もしかしたら、担当者同士の反りが合わないで、簡単にその信頼関係は崩れることもありうるのです。私達の依頼者にも、実際に、いままで取引していた相手方が他の企業に買収され、従前どおりの取引ができなくなったということがあったのです。
 
信頼関係がなくなったとき、契約書がないと、相手に今まで通りの仕事を求めることが困難になり、そのことに文句さえ言えなくなる可能性があります。
 
でも、契約書があれば、信頼関係がなくなったときでも、取引相手に、いままで通りの行為を要求することができるのです。
 
とは言っても、信頼関係が出来上がっているので、いまさら契約書を交わすのは難しい・・・ですよね。
私達はこれまでに何度も、契約途中での契約書締結のお手伝いをさせていただいているのですが、契約途中であっても契約書を結んでもらう1つの方法は、「先に契約書を作って、持って行ってしまう」ということです。
 
案外、取引相手も、「契約書はあったほうがいいけど、作るのは面倒だな」と思っていることは多いのです。
 
もし、契約書を持って行っても、相手方が「別に契約書なんかなくても、いままで問題なく契約出来たでしょ」とおっしゃたなら、「これから、世代交代が起こっても、御社と末永く取引したいんです!そのためには、契約書は絶対に必要なのです!」と説得してみてください。
 
末永く取引する上で契約書を作る必要とは何でしょうか。その1つが、次に述べるように、「紛争処理の方針をすぐ決められる」ことなのです。
 

契約書があるからこそ、紛争処理の方針をすぐ決められる

信頼関係を維持する上でも、契約書はとても大切なのです。
 
時に、世の中には予想していないことが起こることがあるのです。
 
例えば、ある食品を仕入れようとしたとき、運搬途中で、その運送業者のトラックが事故に遭い、食品が燃えてしまった場合、誰がそのリスクを負うのでしょうか。
 
契約書がなければ、言い合いになり、喧嘩になり、結果として訴訟にまで発展するということは、充分にありえます。このとき、あなたは、仲の良かった取引相手を失うだけでなく、訴訟の準備のために、多くの時間と金を失うことになるのです。
 
もし、契約書を作って、この場合、どちらがリスクを負うかを明記していれば、すぐに紛争は処理でき、リスクを負うことになった人も、事前に自分が決めたことだからと納得して受け入れてくれる場合が多いです。
 
こうなると、訴訟のかける時間やお金を失うことはないですし、取引相手との信頼関係も、失うことはないですね。
 

契約書が、裁判で勝つための証拠になる

仮に、契約書があっても、訴訟に発展してしまうことがあります。
 
それでも、当事者が署名をした契約書があれば、裁判所は、基本的に、その契約書に記載された内容通りの契約があったと認めてくれるのです。
 
このように、訴訟になったとしても、契約書は、勝つための極めて強力な証拠になるのです。
 

4)契約書は、「ひな形」や「サンプル」では意味が無い?

ネットに転がっている契約書のひな形やサンプルは意味がない?

便利な世の中になり、インターネットを検索すると、さまざまな契約書の「ひな形」や「サンプル」が簡単にダウンロードできるようになっています。
 
もしかすると、このページに飛んできたのも、「契約書を作ろう」と思って、そのような書式を検索してヒットしたからかもしれません。
 
しかし、「ひな形」や「サンプル」を参考にすれば何とかなると思ったら痛い目に遭うかもしれません!

あなたが契約書を作る目的は?

あなたはどうして契約書を作成したいと思ったのでしょうか。おそらく2つの目的があるのではないでしょうか。
1つは、取引相手との間で、「こういうふうに取引しよう」と決めたことを、正確に意思共有し、きちんと実行できるようにするため。
 
もう1つは、いざ問題が発生した場合、どう処理して、どちらが責任を負うのかということをハッキリさせておくためではないでしょうか。
 
このような目的を達成するためには、果たして、書式を流用することで大丈夫なのでしょうか。
 

取引相手との合意を正確に書面にするためには、書式では不十分

出版物やネットに転がっている書式は、しょせん、ありきたりなことしか書かれていません。たとえば、ネットに転がっている売買契約書は、大抵が代金後払いの契約書です。
 
しかし、初めて売買する相手方で、きちんとお金を払ってもらえるかわからない場合には、交渉して、代金を先払いにしてもらうなんてことは、よくありますよね?
 
書式に頼ると、せっかく交渉では、こちらに有利に進めたのに、ネットに転がっている書式のまま契約書を作成してしまい、うっかり代金が後払いになってしまったということは、よくあるのです。
 
このように、実際の取引の合意内容は、取引相手との人間関係や、取引する物やサービスによって、合意内容は変わるはずなのです。書式に頼ると、想定していた合意とは、全く異なる内容の契約書になってしまうおそれがあるのです。

問題が発生した場合の対処は、相手との関係で異なる

ネットに転がっている契約書も、損害賠償や解除など、最低限の紛争を解決する手段は入っています。
 
しかし、「どういう場合に、どれだけの額を請求できるのか」ということや、「どういう場合に、どうやったら契約を解除できるのか。」というのは、相手方との信頼関係などによって、本来は違ってくるはずなのです。
 
たとえば、初めて取引する相手と、長年取引する相手。あなたなら、契約解除の要件を同一にしますか?
 
普通は、長年取引した相手なら、1回くらいの支払いの遅れくらいで解除したりしませんよね?
 
このように、問題が起こった場合の処理方法は、本来、相手との関係で異なるはずなのです。
 

書式に頼ると、損害賠償を請求するときも面倒になる

問題が発生した時に、よく面倒だと考えられているものが、損害賠償請求するときの「損害額」の計算です。
 
「あいつはきちんと義務を果たさなかったから、損害の賠償を請求したい。」とおっしゃって、単に「損害賠償できる」とだけ記載された契約書を持参される方は多いのですが、実はその「損害」が何なのかというのは、よくわからないことが多いのです。
 
その損害を計算するため、あなたは、さらに人件費をつかって、損失を増やすことになるのです。
 
でも、もし契約書で、あらかじめ損害賠償の額を定めておけば、あなたは、わざわざ損害額を計算しなくても、損害賠償請求できますし、相手方からしても、その額さえ払えば、問題は解決するのです。このような条項は、相手との関係や、取引内容によって内容が大きく異なるので、契約書の書式では、入っていないことがほとんどなのです。
 

具体的な契約書の「サンプル」は、予想がつかない

インターネットには、実際に使われていた契約書がそのまま「サンプル」として流用されることもあります。
このようなサンプルは、誰が作ったものかわかりませんので、その条項がどういう意味なのか、誰も説明してくれません。また、契約書はいずれかの立場に有利に記載されていることが多いのですが、どちらの立場に有利なのかが分からなければ、自分で作成した契約書が、自分にとって不利で思わぬ事態になることも想像できます。
 
このように、契約書の「ひな形」や「サンプル」といった書式に頼ると、想定していた内容の取引でなくなったり、問題が生じた場合の処理が思っていたものにならなかったり、面倒になったりするのです。
 

5)提示されたら、弁護士に相談

向こうから契約書の提示を待っているだけでは危険

先ほど、契約書があれば、その内容を裁判所も認めてくれることが多いというお話をしました。
とくに、企業と企業の間の取引の場合、裁判所は、その契約書に署名していることをもって、当事者がその内容に納得してその契約を締結したと判断する可能性が極めて高いのです。
 
そこで、大きな企業ほど、先に自己に有利な契約書を相手方に提示して、署名するように求めてきます。待っているだけでは、不利な条項を押し付けられるだけなのです。
 

知らぬ間に不利な条項にサインをしていることも??

もし、相手から契約書を提示されて、「よくわからないけど、たぶん大丈夫」と思って署名してしまう
と、実はものすごく不利な契約内容になっていたなんていうことは、本当によくあるのです。
 
いったん署名をしてしまうと、もはやその契約の内容を争うことは困難です。
 
だからこそ、相手から契約書を提示されたら、弁護士に相談し、不利な条項がないか、チェックしてもらうべきでしょう。
 

契約書のチェックは、弁護士に任せたほうがお得?

契約書の条項が自己に不利になっていないかを自分で調べるという方法もあります。
しかし、自分で一から調べるのは、とても時間がかかります。その時間を、普段の業務に使えていたら、あなたはどれほど会社に貢献できていたでしょうか。
 
しかも、法律のプロではないので、ミスも起こりがちで、不利な条項を見逃していても、さきほども述べたように、いったん署名してしまうと、その内容を争うことは困難なのです。
 
ところで、弁護士にまかせても、当事務所であれば、契約書のチェックは5万円から承っております。
契約書のチェックを従業員にまかせず、法律のプロの弁護士に任せてみるというのも、とても合理的な選択と思いませんか?
 

6)当事務所の契約書の実績

当事務所で過去に取り扱った実績のある契約書は以下になります。

和文契約

機密保持契約
合弁契約
技術導入契約
商標ライセンス契約
部品(製品)購入契約
不動産売買契約
株主間契約
株式購入契約
フランチャイズ契約
ノウハウライセンス契約
特許ライセンス契約
販売委託契約
代理店契約
コミッション契約
持株会規定
 

英文契約

Confidential Agreement
Joint Venture Agreement
Distributor Agreement
IP License Agreement
Stock Purchase Agreement
Sales Agreement
Franchise Agreement