退職に関するトラブルについて(14)

今回は退職後に生じるケースの一つとして、SNSや口コミサイトでの発信に関するトラブルについて取り上げます。

 

近年、退職した元従業員が、X(旧Twitter)やGoogleレビュー、転職系サイトなどに、会社の内部事情やネガティブな意見を投稿するケースが増えています。

 

たとえば、「上司によるパワハラがあった」「残業代が支払われなかった」「管理がずさんだった」など、企業名を出して発信されることもあり、放置すれば企業イメージや採用活動に影響することもあります。

では、こうした投稿があった場合、どのように対応すべきでしょうか。

 

まずは、投稿内容が事実に反しているか、実名や社名が明示されているか、そしてそれによる業務上の影響が出ているかを確認する必要があります。

本人が特定できる場合は、事実誤認を丁寧に指摘し、削除を依頼するのが第一の対応です。それでも応じない場合や、内容が明らかに悪質な場合は、Google等のプラットフォームに削除申請を行うことができます。また、損害が大きい場合は、発信者情報開示や削除の仮処分、損害賠償請求といった法的手段を検討することもあります。

 

一方で、投稿内容が事実であり、公益性があると判断されれば、名誉毀損などの請求が認められないこともあります。過剰反応すれば、かえって火種を広げてしまう可能性もあるため、冷静な対応が求められます。

予防策として、退職時に誓約書を交わし、「退職後も企業の信用・名誉を毀損する行為をしない」と明記しておくことも有効です。法的拘束力は限定的ですが、一定のけん制効果は期待できます。

 

日々の雑感

小学校に入学してひと月が経った娘が、「お友達が○人できたよ」とうれしそうに教えてくれました。ただ、すでに好きな男の子もできたようで、「私はだれと結婚すればいいんだろう」と、ぽそっとつぶやいているのを聞いて、少しだけ寂しくなりました。子どもは思っているより早く前に進んでいくものだなぁ、としみじみ思います。

                                                                                                                    (2025年5月14日 文責:下田 和宏)