外国人雇用の法務(18)

 今回から、若干の回数を割いて、昨年6月の入管法改正で話題になった在留資格の一つである「永住者」について、その改正の概要も含めて解説します。

 

 永住者とは、在留資格の一つで、外国籍のまま日本で永住することができる資格のことです。今回の改正は、永住者にだけ適用されるものですが、よく定住者や帰化とどう違うのかという質問を受けることもあります。
そこで今回は、永住者と似た概念とを比較しながら、永住者の特徴を紹介します。

 

「定住者」:外国籍のまま日本で定住することができる在留資格で、日系人の子孫や第三国定住難民、家族滞在という在留資格で日本に滞在し、日本の義務教育を経て10年以上教育を受けた人など、さまざまな身分の方が申請可能な資格です。永住者と同じように就労制限がありません。しかし、在留期間に期限がある点が永住者と違い、定住者は、更新の手続きを行わなければなりません。

「特別永住者」:第二次世界大戦の以前から日本に居住して日本国民として暮らしていた外国人で、サンフランシスコ平和条約により日本国籍を失った方々を対象に1991年の特例法で永住者となった方々です。一般的な永住者とは区別され、特別永住者に、昨年の法改正は適用されません。

 

「帰化」:外国人の方が外国籍から日本国籍を取得し、日本人になることを指す概念です。永住ができる点や就労制限が当然ないことは永住者と同じですが、例えば参政権等、国民固有の権利が保障されるようになる点が違ってきます。

実務上は、実は帰化よりも永住者の資格を得る要件のほうが一般に厳しいとされており、求められる在留経歴の長さや、年収の要件等で、永住者の申請の方がハードルが高いと言われています(次回に続く)。

 

物好き弁護士のつぶやき

先日、平日にお休みを頂いて、東京都現代美術館で故坂本龍一の企画展『音を観る 声を聴く』展を鑑賞したのですが、当日チケット購入で30分待ち、さらに展示室まで行くのに40分並びました。若年層の鑑賞者が多いことに驚きました。高校時代にYMOに出会い、そこから、ソロアルバム、CMソング集と、スルメ盤のように今日まで愛聴しており、気分は古参で並びました(皆、多分戦メリは流れてないよ、とか思いながら) 。坂本氏は晩年、時と夢との関係を考察していたとのことで、かっこいい映像が流れていました。ただそうですね、ちょうど前日、子育ての影響でついに夢の中にアンパンマンが出てきた私には、ちょっと高尚な展示でしたが(原田の耳に念仏)。                       (2025年3月28日  文責:原田  大士)