管理監督者をめぐる問題⑥
前回から引き続き、会社における管理監督者(いわゆる管理職)をめぐる問題について解説していきます。
これまでは、管理監督者性が認められるための3つの条件の内、①重要な職責と②労務管理の裁量について、どのような場合に認められるか(又は認められないか)をみてきました。今回は、最後の条件である③ふさわしい待遇についてみてみます。
ふさわしい待遇とは、時間外労働に対する割増賃金等が支給されない代わりに、それに見合った基本給ないし手当などをもらっていることをいいます。簡単に言えば「それだけお給料もらっているなら、残業代がでなくても十分だよね」といえるかということです。
ここで難しいのが、ふさわしい待遇として認められるための客観的な基準がないことです。
「〇〇円の手当を付与していればOK」みたいな基準はないのですね。業務内容や、他の従業員の給与等を考慮して事案ごとに判断されるためです。
もっとも、残業代を支払わないことが正当化されるための条件ですから、相応の待遇が求められることは想像できるでしょう。例えば、一般の従業員と比べて微々たる違いしか設けられてない場合や、仮に割増賃金が発生していたら支払われたであろう金額より低額の手当しか付与されていない場合などでは、認められることは厳しくなるでしょう。
これで、管理監督者性が認められるための3つの条件全てをみてきました。「管理職と認められるのは何て大変なんだ」と思った方も少なくないと思います。事実、裁判になったときに管理監督者性が認められることの方が少ないといわれています。
その要因の一つには、裁判所の考え方の古さがあるといわれています。現代の企業における「管理職」の立ち位置ないし役割を理解できていないという指摘ですね。
このような指摘も踏まえ、近時は判断基準を再整理する裁判例もでてきています。一日も早く裁判における判断基準がアップデートされることを願います。
Atty’s chat
九星気学によると、平成元年生まれで「二黒土星」の私は、今年は「八方塞がり」で凶年とのことです。そんなことを言われるともう何もする気が起きなくなってしまうのですが、せめて健康にだけは気を付けて無事に一年を過ごしたいと思っています。本年もどうぞよろしくお願いいたします。 (2024年1月23日 文責:大山 滋郎)
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