知って得する労働法改正⑥

さて、今回は厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を参考にしながら、従業員の労働時間の把握について解説します。

 

ガイドラインにおいては、原則として使用者が、自ら現認するか、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録することとされています。

 

仮に、労働時間について、従業員からの自己申告制を採用する場合でも、実態と乖離がないか定期的な実態調査を行い、必要に応じて補正する必要があるとされています。

 

上記自己申告の労働時間と実態の労働時間との乖離を無くすことは企業にとっても非常に重要です。

 

なぜなら、万が一従業員から未払い残業代請求訴訟を提起された場合、タイムカードや自己申告では現れていなくても、PCの使用履歴やメール・日報の送受信履歴等から労働時間が認定されることが裁判例上もあるほか、上記ガイドラインでは、「準備時間」、「待機時間」、「使用者の指示による講習受講、学習時間」等は労働時間に該当するとされており、予期せぬ支払義務を負ってしまうことがあるためです。

 

近年はテレワークも定着したことにより、使用者・従業員も予期せぬ「隠れ残業時間」が発生する可能性が高まっているかと存じます。

 

近年は勤怠管理システムの中にPC操作履歴等から労働時間の把握や隠れ残業の有無の把握のシステムが組み込まれているものも出てきているらしく、労働法実務の傾向に沿った対応がなされていると感じています。

 

後書き

「隠れ残業」という言葉は比較的最近使われ出したようですが、これまでも同様の状態はあったようで、かつては仕事に必要な書類を風呂敷に包んで自宅に持ち帰って仕事をしたことから「風呂敷残業」と呼ばれたり、時代の流れとともに「インターネット残業」、「Eメール残業」、「USB残業」、「モバイル残業」という表現もあったそうです。残業していることを気取られないという意味では「忍者残業」という表現もありでしょうか。             (2026年3月9日  文責:高橋 涼馬)