知って得する労働法改正⑤

引き続き労働に関する法律等の改正についてのシリーズを書いて参ります。

今回取り上げるのは、カスタマーハラスメントについて、法律で初めて「カスハラ」の定義が明確化されたとして注目されている労働施策総合推進法の改正についてです。
 
 同改正法33条1項によれば、「カスハラ」とは以下の3つの要素を備えるものとされています。
 ①顧客、取引の相手方、施設の利用者その他当該事業主の行う事業に関係を有する者の言動であって
 ②(労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして)社会通念上許容される範囲を超えたものにより
 ③当該労働者の就業環境が害されること
 
言い換えれば、「(取引先等を含む)お客様による、常識的に考えて対応しきれない無茶な要求等の言動により、従業員の業務に支障が生じたこと」となるかと考えます。

 同改正法では、企業が、従業員がカスハラ被害に遭うことを防止する対策を行う義務等を規定しているため、「カスハラ対応指針」の周知・公表やカスハラ対応マニュアルの作成、カスハラ被害にあった従業員のメンタルケア等の企業ができるカスハラ対策の動きは加速していくと考えられます。

 また、余りにもひどいカスハラに対しては、弁護士に相談し、出入り禁止等の仮処分申立てや損害賠償請求、刑事告訴等の法的対応を毅然としてとることも今後必要になってくるかもしれません。

 

 もはや「お客様は神様」ではなく、お客様と従業員は対等な関係であることを前提とした取引を行っていくことが企業にとっても重要になってきます。

 

後書き

余談ですが、「お客様は神様」という言葉は、演歌歌手の三波春夫さんがご自身の芸(サービス)に対する覚悟や心構えを示すためにおっしゃったらしく、いつしか「客は偉い」という意味に誤用されてしまったようです。若い世代の間では、良い異性を見分ける指標として店員さんにどう接しているかをみるというのがあるらしく、実は客の心構えも試されているなと感じます。                                                                                                   (2026年1月23日 文責:高橋 涼馬)