労働事件裁判例のご紹介⑦
実際の労働事件の裁判例を紹介するシリーズの第7回目です。
近時における、会社の主張が認められた裁判例を紹介しますので、皆様の労務管理の参考としていただけますと幸いです。
今回は、会社による有期契約社員との契約更新の拒絶(いわゆる雇止め)について、これが有効と判断された事案です(東京地判令和2.10.1)。
【裁判の概要】
会社は、労働者Xと有期雇用契約を締結しており、これまでの合計契約期間は5年10カ月、更新回数は7回に及んでいました。最後の契約終了時に、会社がXとの契約の更新をしなかったところ、Xがこれを不服として、更新拒絶は無効であるとして会社を訴えました。
【裁判所の判断】
これに対して裁判所は、会社による有期雇用契約の更新拒絶は労契法19条に反せず有効であるとして、Xの主張を退けました。
【ポイント】
いわゆる雇止めは、労契法19条により規制されています。同条の構造や解釈はやや難解なのですが、とても簡単にいえば①実質的に無期契約と変わらないといえるもの、②次回も更新されると期待されていたものについては、相応の理由がないと雇止めできないと規定されています。
そして、①又は②に該当するかは、更新の回数、通算の雇用期間、更新の際の手続、これまでの会社側の言動といった事情が考慮されます。
仮に更新の回数が多く、通算の雇用期間が長かったとしても、更新の度に厳格な手続を踏んでいる、更新されないことがある旨を書面でも口頭でも確認しているといった事情があれば、雇止めが有効と判断されやすくなります。
実際には留意すべき点が多数ありますので、有期雇用契約の運用で心配になりましたら、ぜひご相談ください。
Atty’s chat
ようやく暖かく過ごしやすい季節になりましたが、花粉症がひどく外で過ごすことに難儀しています。薬も飲んでいるのですが、焼け石に水といった具合です。聞いた話によると、花粉症の薬をシーズンの2か月ほど前から服用し続けていると、症状を抑えられることがあるそうです。試しに来年は年明けから服用して、徹底的に花粉と戦ってみたいと思います。
(2026年4月16日 文責:越田 洋介)
- 労働事件裁判例のご紹介⑦
- 英文契約書のアレコレ(6)
- 【労働裁判例を知り、会社を守る!】第17回 固定残業手当制にしていたはずが無効に・・・?
- 【事業承継編】誰がM&Aの相談相手として最適なのか
- 退職に関するトラブルについて(20)
- 知って得する労働法改正⑥
- 労働事件裁判例のご紹介⑥
- 英文契約書のアレコレ(5)
- 【労働裁判例を知り、会社を守る!】第16回 セクハラ相談窓口への通報への対応が甘かったら・・・?
- 【事業承継編】拒否権付株式(黄金株)は本当に有効なのか?
- 退職に関するトラブルについて(19)
- 知って得する労働法改正⑤
- 労働事件裁判例のご紹介⑤
- 英文契約書のアレコレ(4)
- 【労働裁判例を知り、会社を守る!】第15回 プライベートで飲酒運転した従業員でも解雇できない?
- 【事業承継編】本当に会社は300万円で買えるのか?
- 退職に関するトラブルについて(18)
- 知って得する労働法改正④
- 労働事件裁判例のご紹介④
- 英文契約書のアレコレ(3)
- 【労働裁判例を知り、会社を守る!】第14回 無許可残業であっても給与が発生する・・・?
- 【事業承継編】赤字や債務超過の会社でも売れるのか?
- 退職に関するトラブルについて(17)
- 労働事件裁判例のご紹介③
- 英文契約書のアレコレ(2)
- 【労働裁判例を知り、会社を守る!】第13回 放送事故を起こした社員を解雇したら無効に・・・?
- 【事業承継編】悪質な買い手にご注意!その見極め方と対策
- 知って得する労働法改正③
- 労働事件裁判例のご紹介➁
- 【労働裁判例を知り、会社を守る!】第12回 「管理監督者」だから割増賃金を支給していなかった・・・?


