管理監督者をめぐる問題⑦
前回から引き続き、会社における管理監督者(いわゆる管理職)をめぐる問題について解説していきます。
前回までは、管理監督者性が認められるための3つの条件、①重要な職責、②労務管理の裁量、③ふさわしい待遇について、一つずつみてきました。そして、これらの条件を満たして管理監督者と認められることが容易ではないこと、それは裁判所の考えの古さ、現代の企業における管理職の立ち位置や役割を理解できていないことも要因であることをお話しました。
管理監督者性に限ったことではありませんが、裁判所は、法律が作られた当時の目的と、これまでに出されてきた過去の裁判例を重視する傾向があります。そのため、時代と共に社会情勢が変化し、裁判所の考え方が社会の実態とそぐわなくなっても、容易にはこれを修正できないということがあります。
その中にあって、少しではありますが、違う基準を示そうとする裁判例も出てきてはいます。
例えば東京地裁の裁判例では、①の重要な職責について、所属する部門全体を統括する立場にあるか、部下の労務管理の決定などについて一定の権限を有しているかといった観点から判断しようとしたものもあります。
これまでは、①重要な職責を有しているか≒使用者と一体といえるかという形で判断されていたことと比べれば、そこまでの地位は求めていないという点で、一定程度緩やかに解そうという態度がみえるでしょう。
今後、裁判例が積み重なることで、より現代の企業における管理職の実態に即した判断枠組みへと変化していくことを期待したいところです。
しかし、現状は依然として多くの裁判において、これまでに示した3つの条件での判断が行われています。そのため、企業としてはこれを踏まえて管理職制度を扱っていく必要があるといえるでしょう。
Atty’s chat
先日、6月に開催される自転車レースへのエントリーをしました。富士のスバルラインを登るヒルクライムレースなのですが、年々大会の人気が高まってきており、約1万人ほどの定員がエントリー開始から1時間ほどで埋まるほどでした。せっかく獲得した出走枠なので、しっかりとトレーニングしてよい走りをしたいと思います。
(2025年2月27日 文責:越田 洋介)
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