請負契約をめぐる注意点➁

前回は、請負契約を締結する際には偽装請負とならないように注意しましょう、というお話をしました。偽装請負というのは、契約の形式上は請負契約となっているけれども、実際には派遣契約となってしまっている契約のことでした。

 

では、実際にはどのような点から偽装請負かどうかの判断がなされるのでしょうか。判断にあたっての細かな基準は、昭和61年に厚労省から出された「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」という告示に記載されています。その内容を非常にざっくりとまとめると、概ね次のようになります。

 

①受注者が、労働者の業務遂行の方法や労働時間などを管理していること
②受注者が、資金調達も含め業務に全面的な責任を負っていること
③業務の内容が、単なる労働力の提供ではないこと

①は、発注会社が、受注会社の労働者に対して色々と指示を出してはいけませんよ、ということです。労働者に対する指示は、あくまでも雇用主である受注会社が行わなければなりません。

②は、発注会社が用意した資金を用いて業務を遂行してはいけませんよ、ということです。業務遂行に要する資金はすべて受注会社が用意し、事業主として責任を負わなければなりません。
③は、発注会社が機材や設備などを用意しておいて、労働者はそこで単純作業を行うだけといった働き方ではいけませんよ、ということです。機材や設備は受注会社が自前で用意するか、発注会社の機材等を用いるのであれば、例えば専門的な能力を有する労働者が現場の監督を務めるなど、受注会社がその専門性を活かした業務を行う必要があります。

 

このように、請負とみなされるための条件は、かなり厳しく考えられています。そして、上に挙げた条件はすべて満たしている必要があります。①と②を満たしていても、③を満たしていなければ偽装請負とみなされてしまうということです。そのため、請負契約を用いる会社としては、どのように業務が遂行されるかをよく確認し、これらの条件をしっかりと満たすよう注意する必要があります。

 

なお、今回紹介した告示は、1ページちょっとの分量ですぐに読めるので、一度は確認されておくことをお勧めいたします。また、告示の内容を分かりやすく説明したガイドや、業種ごとの質疑応答集なども厚労省から出ているので、適宜参照されるとよいでしょう。

 

Atty’s  chat

先週末、鎌倉で寺社巡りをしてきました。紫陽花の季節でしたので、明月院などは開門前から行列ができていて、大変な盛況でした。明月院や報国寺などの「映え」そうな寺院は混みあっている一方、覚園寺などの渋めのお寺は空いており、ゆっくりと参拝できました。鎌倉もしばらくはインバウンドで混雑が続きそうなので、そういった穴場の寺院を回るのもいいかもしれませんね。                                                                                            (2025年6月10日  文責:越田 洋介)