実録・労働審判④
引続き、労働審判についてご案内します。これまでは、労働審判の特徴、始まりから初動対応、そして審判期日当日の様子について、簡単にお話ししました。
それでは、労働審判はどのように終わるのでしょうか。
労働審判は、基本的には和解か審判(裁判でいう判決)のどちらかで終わります。そして、このうち和解で終わるパターンが圧倒的多数です。統計によれば、約7割の事件が和解で終了しています。
これは、もともと労働審判が話し合いによる柔軟な解決を目指した手続であり、当事者もそれを前提に労働審判を利用しているためです。
これを前提に、1回目か2回目の期日において、裁判所から和解案が示されます。
裁判とは違って柔軟な解決を旨としているため、和解案の内容自体は「××円の支払」のようにはっきりとしているものの、その理由や根拠についてはふわっとしていることが少なくありません。
例えば未払賃金請求であれば、「はっきりとは分からないけど、毎日〇〇分ぐらいは残業していたようですね。それを前提に計算し、丸い数字にして、××円の支払ではどうでしょうか」といった具合です。
このような裁判所からの和解案を双方が検討し、合意に至れば和解成立となります。もちろん、その過程においては「××円は高い、△△円なら同意する。」といった金額交渉もなされます。
曖昧な内容で納得いかないこともあるでしょうが、一方ではっきりと白黒つけない玉虫色の内容ゆえに、受け入れやすいということもあるでしょう。また、口外禁止の約束を取り付けるなど、和解ならではの利点もあります。
このような流れを経て、和解により労働審判が終了します。
では和解で終わらない場合はどうなるのでしょうか。次回はこの点についてお話いたします。
Atty’s chat
先日、事務所の集まりで素敵な豆腐料理を頂く機会がありました。もともと豆腐は好物だったのですが、美味しい豆腐料理に触れて、最近では豆腐熱が上がっております。
これまで醤油をかけて食べるだけだった冷奴に、オリーブオイルや食べるラー油をかけて食べてみたりと、色々な食べ方を模索しているところです。
近いうちに、手作り豆腐にも挑戦してみたいと思っています。 (2023年11月1日 文責:越田洋介)
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