会社に役立つ刑事豆知識(6)
今回は、これまで扱ってきた防犯カメラのテーマについて、もう少し具体的な問題を掘り下げて検討していきたいと思います。
ズバリ、「防犯カメラの映像はいつまで保存するか?」という問題と、「どこまで設置していいか?」という問題です。
(具体的な問題を考えるのにも、規則や法律からというのが、法律家の悲しい性ではありますが、、、)
各地方自治体が、まちづくり条例や個人情報保護法の規制を受けて、各事業者向けに防犯カメラのガイドラインを作成しており、その内容が参考になります。今回は、横浜市が作成したものを見てみたいと思います。
まずは、「防犯カメラの映像はいつまで保存するか?」についてです。
防犯カメラで、従業員や来客を撮影する目的は、当然ながら防犯目的です。事件の発覚や捜査の進行にも時間がかかるでしょうから、一定期間の保存は必要でしょうが、ずっとデータを保存しておくと、プライバシーに関する情報が流失するリスクも生じてかえって不都合です。
横浜市のガイドラインでは、「おおむね1箇月以内で必要な保存期間を決め、不必要な画像データの保存は行わない」としています。他の地域のガイドラインも、防犯目的とプライバシー保護の両立を考えて、1箇月以内を目安としている場合が多いです。
次に「防犯カメラはどこまで設置できるか?」についてです。
横浜市のガイドラインでは、「防犯カメラの設置及び運用にあたっては、犯罪の予防効果の向上と個人のプライバシー保護との調和を図るため、撮影区域を必要な範囲に限定するよう努めるものとする。」とありますが、明確な基準はここからは分かりませんね。そこで次回は、具体的なケースを仮定して、解説していきたいと思います。
物好き弁護士のつぶやき
先日、池袋のとあるマンション(兼オフィスのようです)に複数名の強盗が押し入り、会社社長がもみ合った相手の犯人を刃物で負傷させ、その相手が亡くなってしまった事件がニュースになりました。正当防衛が成立するのか、という問題がよくとりあげられています。正当防衛が成立するかは、具体的な事情を見ないと何とも言えません。一般原則だけでいえば、正当防衛は要件が厳格で認められにくいのですが、今回のような強盗の事案では、特別法が適用される可能性があり、正当防衛が成立する可能性が十分あります。
こういう物騒な話を聞くと、防犯カメラの話のスケールが小さく見えますが、次回まで続けてみたいと思っております。
(2023年3月28日 文責:原田大士)
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