会社に役立つ刑事豆知識(2)
前回から、会社経営状況役に立ちそうな刑事事件の基礎知識というテーマで出稿させて頂いております。
今回は、会社の中で盗難事件があった場合の、会社側がとると好ましい対処法について、考えてみたいと思います。
被害品の持ち主が会社であれば、当然、職場などでの盗難は会社の関心事といえましょう。
このような場合は、会社にて被害状況を確認された後、適宜被害届を提出する等して、捜査機関に捜査を依頼し、協力することになるでしょう。事実が不確かな段階では、断定的に犯人を決めるということは避け、「どなたか知っている人がいれば、会社担当までご連絡下さい」と会社内でアナウンスをし、情報収集をするのも一考です。
もっとも、会社が被害にあった盗難事件を、警察に届けなければならないという法律まではありません。様々な事情によっては、会社としては、警察沙汰にしたくはないと考える場合もあるでしょう。
被害届が無くても、警察は捜査をすること自体はできます。しかし、会社が被害届を出さなければ、警察は事件を知りようがありませんし、会社が許した事件であれば、たとえ事件が発覚しても、送検されなかったり、起訴猶予になったりする可能性が高いです。
ですので、疑わしい人がいた際には、責任者とその人とでなるべく内密に話合いをし、被害弁償、自主退職や懲戒処分などを決めていくことになるでしょう。
警察に協力を仰ぐにせよ、仰がないにせよ、会社が進んで被疑者の実名を公表することは避けたほうが良い点はご注意ください。どうであるにせよ、前科はもっともプライバシー性の高い情報であることは事実だからです。
今回は、会社の持ち物が会社内で被害にあった際の対処について、大きく二つの方向性があることを見てみました。
次回は、会社内で、社員の持ち物が盗まれてしまった際のことを考えてみたいと思います。
物好き弁護士のつぶやき
前回からコラムのテーマが変わりまして、お読みになって下さった方々に質問等を頂きまして、そちらを参照させて頂きながら、次回以降のトピックを考えさせて頂こうと思っております(全てのご質問をご紹介でできるわけではなく、適宜ご返答させて頂いているご内容をご確認頂きますよう、ご容赦下さい)。
コラムでのご共有をご了承頂けそうでしたら、「これって犯罪にならないの?」「この場合はどうなるの?」といったよう疑問で結構です。 (2022年9月12日 文責:原田大士)
- 賃金の減額について(3)
- 実録・労働審判③
- 会社に役立つ刑事豆知識(10)
- 労働条件明示義務とは?
- 【消費者被害と中小企業編】景品表示法ではないというための「資料」
- 賃金の減額について(2)
- 実録・労働審判➁
- 会社に役立つ刑事豆知識(9)
- 労働基準監督署に未払賃金を指摘されたら?
- 【消費者被害と中小企業編】健康食品と薬機法、そして景品表示法
- 賃金の減額について(1)
- 実録・労働審判
- 会社に役立つ刑事豆知識(8)
- 労働基準監督署とは?
- 【消費者被害と中小企業編】消費者法は悪徳商法以外にも適用される!
- 残業時間の上限について(14)
- 弁護士会照会について③
- 会社に役立つ刑事豆知識(7)
- プライバシーポリシーは作った上で公表しているか?
- 【消費者被害と中小企業編】 この1年でお話をすることについて
- 休日の割増賃金について(13)
- 弁護士会照会について➁
- 会社に役立つ刑事豆知識(6)
- 株主が誰か把握できているか?
- リスクがない取引などない
- テレワークを行う場合の労働時間の把握(12)
- 弁護士会照会について
- 会社に役立つ刑事豆知識(5)
- いわゆる36協定は締結されているか?
- 電子マネー(PayPayなど)の強制執行