第3回 従業員のパワハラを放置していないか?

「ハラスメント」への問題意識は年々高まっており、もはや十年前、いや数年前の常識も通用しなくなってきていると言えます。

その中でもパワーハラスメント、いわゆる「パワハラ」に関する改正法が、今まさに適用されたところです。

 

パワハラの代表例は、例えば「人格を否定するような言葉を浴びせる」「長時間に渡って業務に直接関係のない作業を命ずる」「嫌がらせのためにわざと仕事を与えない」「他の従業員の前で大声で怒鳴りつける」などといった行為です。

 

こういった行為が行われていた場合、パワハラをした人が、された人に対して損害賠償責任を負うことがあります。さらには、「パワハラが行われている状況を放置していた責任」があるとして、会社も、パワハラをした人と同じく損害賠償責任を負う可能性があるのですね。

 

こうした中、通称「パワハラ防止法」が、大企業では2020年6月1日から、中小企業でもまさに2022年4月1日から適用されています。(なお正式名称は非常に長く、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」といいます。。。)

 

この法律では、「会社に、パワハラを防止する義務があること」が明記されています。

例えば「パワハラを行ってはならないことを従業員に周知する」「相談窓口を作っておく」「パワハラと思われるケースが発生した場合は速やかに調査すること」「パワハラが発生してしまった場合に再発防止策をとること」などにより、会社としてもパワハラを防止するための対策を講じておく必要があることが定められています。

 

会社として必要な対策をとっていなかった場合、上記のように会社自身が責任を負うこともありますし、国からの指導が入る可能性があります。

全ての従業員が快適に働けるよう、会社としてもパワハラ防止対策をとった上で、快適な職場を提供していきたいですね。

 

弁護士の徒然草

一昔前の映画、ドラマ、アニメなどを見ると、上司が部下を平気で怒鳴ったり殴りつけたりしている光景がよく見られますよね。前までは当たり前のように行われていたようなことが、今の時代では「ハラスメント」認定されるというケースが非常に多いのですね。尊敬する大経営者の本を読むと「従業員本人のために、わざと周りに人がいるところで叱っていた」と書かれていたりして、これは今であればストレートにパワハラということになります。。。(その著者自身も「時代の流れで今はもちろんそういうことをしていない」と書いていましたが!)
時代の移り変わりは速く、変化に乗り遅れないように注意が必要ですね!              (2022年4月11日 文責:佐山洸二郎)