債権回収編 財産開示手続きを無視して書類送検?

令和2年10月20日、裁判所から財産開示手続きを受けたのに出頭しなかったとして、神奈川県警が介護士の男性を書類送検したとの報道がありました。いままでは、お金を払わなかったからといって警察沙汰にすることは難しかったのですが、今後は、手続き次第で警察を味方につけることができるかもしれません。

 

「財産開示手続」とは、強制執行できる債権者が、強制執行しても空振りになってしまった場合に、その債務者に対して、裁判所に出頭の上、財産状況を開示させるという手続きです。

これまで、財産開示手続を無視していても、「過料」というものしか与えられませんでした。この「過料」というのは、刑罰ではなく、前科にもなりませんし、警察も動いてくれません。そのため、財産開示手続きに応じてもらえない場合、結局泣き寝入りになることも多かったですし、弁護士としてもそれ以上のサポートはできませんでした。
しかしながら、令和2年4月に民事執行法が改正され、財産開示手続きに応じない場合に、刑事罰が導入され、警察が動いてくれるようになりました。これで、財産開示手続きに応じなければならないという一定のプレッシャーを債務者に与えることができるといえるでしょう。この新制度を活用したのが、上述した報道の事例なのです。

 

ただ、いずれにせよ、財産開示手続きに応じなかったことで警察が動いてくれるだけで、財産開示手続を行う前提として、勝訴判決などを得て一度強制執行しないといけませんし、また、財産開示手続ができても、債務者が「お金がないです」と裁判所に言いに来てしまうと、刑事罰の対象にならないわけです。結局は、お金がなければ回収ができないということには変わりがないのです。

 

週末のおでかけ日記

コロナの第3波ということもあり、(表立って)外出することが難しくなってきました。そんな中、私は、Nintendo Switchで桃太郎電鉄を購入しました。Switchだと、インターネットで遠くに住む友人ともゲームができるので、いいですよね。ただ、まだ一人プレイしかしておらず、貧乏神をつけられて借金まみれになっている状況なので、エンジョイしているとは到底いえませんが・・・。                                                                    (2020年11月24日 文責:杉浦智彦)