従業員からの破産申し立て

①破産に至る経緯

飲食店を経営したい者に、資金の提供をした。
形の上では、資金提供者が経営者となる一方、事実上の経営者が従業員とななった。
その従業員は、自己の「賃金」を決めたが、経営が思わしくなく事実上経営を続けるのが困難に。

②申し立て手続き

当該従業員が中心となって、多くの従業員が共同で、給料債権を貰えない債権者として、会社の破産を申請した。
債権者からの破産は、裁判所に費用(最低限の管財人の報酬相当)を収めないといけないので、あまり行われない。
本件では、債権者から破産を申し立てるとともに、出資者である「経営者」が資産を不当に使用していたなどの主張もなされた。

③破産の手続き

裁判所で、管財人や裁判官との話し合いの中、出資者である経営者の責任は否定された。
しかし、従業員たちは、破産手続きをした会社の従業員ということで、国から未払い賃金の8割を貰う制度を利用。
事実上多くの賃金の回収に成功した。

④弁護士からの一言

未払い賃金を、国から得るために破産の申請をするというやり方は、これからも増えていくはずです。
従業員の生活を守るという意味では、弁護士もこのような方法に積極的に取り組むことも考えられます。