【労働裁判例を知り、会社を守る!】第16回 セクハラ相談窓口への通報への対応が甘かったら・・・?

今回は、セクハラ裁判例第2弾として、最高裁判所平成30年2月15日判決をご紹介いたします。

 

 プラスチックパッケージ基板等の製造販売を事業内容とする会社で、加害者従業員からセクハラを受けたとして、被害者である従業員が会社と加害者を相手に損害賠償請求訴訟を起こしました。
 事実関係としては、被害者は加害者から金銭の融通してもらったことなどをきっかけに、短期間、男女の交際関係のような状態になっていました。
 ただその後、被害者が加害者との交際に消極的な姿勢を見せると、加害者はいわゆるストーカーやつきまといのような行為をするようになりました。
 その後被害者は上司やコンプライアンス通報窓口へ相談しましたが、結局会社からはまともな対応がなされることはありませんでした。裁判所は、セクハラの事実を認め、会社と加害者に200万円の損害賠償責任があると認定しました。

 この裁判例で、加害者のみならず会社にも責任が認められた原因は何でしょうか?
 まず、被害者が上司に相談した際に、上司は朝礼で「ストーカーや付きまといをしているやつがいるようだが、やめるように」などと発言するのみで、それ以上何らの対応もしませんでした。
 その後被害者がコンプライアンス通報窓口へ相談した際も、関係者への断片的なヒアリングがなされたのみで、その後の処分などの対応はなされていませんでした。

 

 以上のように、会社が、被害者からの種々の相談に対するしっかりした対応をしていなかったことが、会社の責任が認められた最大の要因かと思います。

 これまでも繰り返しお話してきていますが、ハラスメントの申告があった場合、①会社として当事者及び関係者から中立的にヒアリングをする→②会社として認定出来る事実の範囲を確定する→③必要に応じて加害者に処分を行う、という3ステップを踏むことが鉄則となります。

 

この裁判例の件でも、せっかく被害者からの相談や通報があったのであれば、上記の3ステップを踏んでいれば会社の責任は認められなかった、さらにいえばそもそもセクハラに歯止めをかけられていた可能性があるのではないかと思います。

 

弁護士の徒然草

弁護士の研修時代に、ある教官が「出来るだけ女性研修生の半径2m以内に入らないようにしている」と話していたのを思い出しました。実際にそこまで徹底するかどうかはともかく、それくらいの意識を持っていた方がセクハラは防げるかもしれませんね。                                                                                              (2026年2月10日  文責:佐山 洸二郎)