知って得する労働法改正④

引き続き労働に関する法律等の改正についてのシリーズを書いて参ります。

 

 今回取り上げるのは、現在法制審議会で検討されている労働基準法の改正についてです。もし改正されれば約40年ぶりの大改正となり、労働法においては注目のトピックとなっております。

改正議論の中で特に私が興味深いと感じたのは、勤務間インターバル制度の義務化と、「つながらない権利」のガイドライン策定の議論です。

 勤務間インターバル制度とは、勤務終了後退勤から翌日の勤務開始までのインターバル(間の休息時間)を原則11時間以上空けることを義務化する制度になります。例えば夜0時に退勤した場合は、翌日11時以降の始業とするなど、睡眠時間7~8時間+αの間の休息時間を設けて無理な連続勤務を回避することを目的としています。

  次に「つながらない権利」とは、欧州などでは先行して議論導入がされているらしく、勤務時間外や休日に、メール・電話・チャットなどの「仕事の連絡」に応答しなくても、不利益な扱いを受けない権利と定義されます。

趣旨としては、夜間や休日の上司からのメール・メッセージによりストレスを感じる人もおり、家庭生活への悪影響、メンタル不調や燃え尽き(バーンアウト)を防止するとのことです。

個人的には上司からのメッセージの末尾に句点(「。」)がついていると怒られているように感じる人もいるというような議論に近いような感じもしてしまいますが、24時間、即時に連絡を取ることが容易な現代においては従業員のメンタルケア、離職防止として必要な議論になってくるのかもしれません。

 

  どちらも会社の実情に応じて取り組むことを目標としており、違反した場合の罰則等は設けない予定とのことですが、先回りしてこうした議論をキャッチアップしておくことは、従業員とのトラブルを防止し、社員が辞めない会社をつくる第一歩となりえます。

 

後書き

私は自他共に認める健康オタクで、冬の時期はR-1ヨーグルト、ハーブ茶、漢方など様々な健康法を試していますが、1,2ヶ月に一度は風邪を引きます。結局「病は気から」ということなのかもしれません。。

                                                                                                                  (2025年12月5日  文責:高橋 涼馬)