【事業承継編】赤字や債務超過の会社でも売れるのか?
現時点で赤字や債務超過に陥っている会社でも、M&A(事業承継)によって売却できる可能性は十分にあります。しかし、そのためには、買い手企業にとって将来的なメリット、すなわち「黒字化できる要素」があることが不可欠となります。
買い手企業は、赤字や負債を抱えた企業であっても、その企業が持つ技術力、ブランド、優秀な人材、顧客基盤といった無形の資産に価値を見出すことがあります。特に、自社の営業力や経営資源を投入することで、売り手企業の事業とシナジー効果が生まれ、将来的に黒字化が見込めるのであれば、買収の対象となり得ます。
例えば、①買い手企業の販路を活用して、売り手企業の製品を拡大販売できる、②買い手企業が不足している特定分野の専門人材を確保できる、といった具体的な道筋が描ければ、M&Aが成功する可能性が高まります。
このようなご自身の強みというのは、なかなか自己分析できないものです。そこはぜひ、弁護士等の専門家に相談いただくのがよいかと思っております。
一方で、売り手側、つまり現経営者が注意しなければならないことがあります。それは、「これまでの投資額は全額回収したい」という気持ちを持たないことです。赤字や債務超過に至ったという現実を受け止め、失敗を認める潔さが重要になります。
M&Aの目的を、あくまで事業の継続、取引先の維持確保、そして従業員の雇用維持に置くべきです。売却できれば、経営者個人の連帯保証の負担軽減や、会社を倒産から救うという大きなメリットが得られます。重要な点を優先して、現実的な判断をすることが、承継を成功させるための鍵となります。
最近のへべれけ日記
急に寒くなりましたね。熱燗が美味しい季節になりました。今晩のお供に、宮城のお酒の「伯楽星 特別純米」はいかがでしょうか(四合瓶で1,700円程度)。
もちろん冷やした状態でも美味しいのですが、電子レンジでアチアチに温めても崩れない強さのあるお酒です。一合を徳利に入れて600ワットで1分30秒から2分程度温めて、平盃で飲んでもらうといい感じです。七味をさっと振りかけた肉豆腐を少しずつ崩しながら頬張り、チビチビとやってもらうのがよいかと。ぜひお試しください!
(2025年11月5日 文責:杉浦 智彦)
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