退職に関するトラブルについて(13)
今回は、試用期間中に「経歴詐称」が発覚した場合に、即解雇できるかどうかについてご説明致します。
採用後まもなく、履歴書に書かれた経歴にウソがあることが発覚した場合、「試用期間中だし、信用できないから即日解雇にしたい」と考える企業も多いのではないでしょうか。
しかし実は、経歴詐称があっても、すぐに解雇できるとは限りません。
試用期間中の解雇は認められやすいということは、前回お話ししましたが、解雇には合理的な理由と相当性が求められます。
たとえば、必須資格(例:宅建、看護師など)を取得していないのに、取得済と記載していた、職務経歴や学歴を大幅に偽り応募条件を満たしていなかったなどの重大といえる経歴詐称は、解雇の理由となり得ます。
一方で、アルバイト歴や学歴の一部など業務に影響しない範囲の軽微なものは、解雇の理由として認められない可能性が高いといえます。
学歴詐称は、最終学歴を高く詐称する場合だけでなく、低く詐称する場合(大学卒を高卒と偽るなど)も含まれますが、採用時に学歴を重視していたかどうか、労働条件や業務に影響するかなどで解雇理由と認められるかは判断がわかれます。
犯罪歴や懲戒歴などは、事件の内容や時間の経過などにより、解雇の理由として認められる場合とそうでない場合があり、判断が難しいものがあります。
また、解雇理由がある場合であっても、本人の説明や弁明の機会はあたえたか、就業規則に該当する規定があるかなどは確認しておく必要があります。
このように経歴詐称が発覚した場合でも、感情的に即解雇せず、冷静に判断することが大切です。
日々の雑感
先日、娘の小学校の入学式に参加しました。まだまだランドセルが大きく、後ろからみるとランドセルが歩いているようにも見える娘ですが、新しい環境に緊張しながらもドキドキわくわくしている様子を見ると、成長したなと思う一方で、私も新しいことに挑戦する気持ちや姿勢を持ち続けたいと思いました。とりあえず、小学校の朝は意外に早いので、娘にあわせて早寝早起きの生活にします。 (2025年4月9日 文責:下田 和宏)
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