第136号 カニカニ合戦の決着 ~道頓堀の「かに道楽」とかまぼこ「かに道楽」~

前回は、「国全体の1 割の商標出願を一人の男性が行うといった事件」を題材に、弁護士関与のもとでの交渉が、経済的にもスピード的にも有効ですよ、といったお話しをしていました。

とはいっても、訴訟をせざるを得ない場合もありまして、ちょうどニュースを見ていましたら、大阪道頓堀のカニの人形で有名な「かに道楽」が「ヤマサちくわ」の「かに道楽」という「かまぼこ」に対して商標権侵害で訴えていたのが、和解で終結したらしいので、紹介したいと思います。

 

数日前の報道なのですが、内容としては、「かに道楽」が、45万円の損害賠償を取りやめて、「ヤマサちくわ」の側が、「かに道楽」の表示のかまぼこを廃棄して、今後販売しない、という内容で終結したようです。

今回の件も訴訟前に「交渉」は行われていたようなのですが、どちらも操業何十年にも及ぶ大きな企業だったことと、「ヤマサちくわ」側は、「先に『かに道楽』を使っていたのはこっちだ。」というもっともな主張があり、また、「かに道楽」側も、大きな看板で譲れないというところから、訴訟に発展したのだと思います。

 

比較的新規のサービス等との対立であれば、経済的合理性から、どちらかが譲ってという折り合いもつきやすいのでしょうが、今回のカニカニ合戦では、どちらもそれぞれ歴史があって 簡単には譲れなかったのでしょうね。

とはいっても、一審で和解しているようですから、これ以上争っても、泥沼になってしまうという判断があって、比較的早期に和解に落ち着いたようです(訴え提起は、昨年の11月頃のようです。)。

内容としては、「ヤマサちくわ」の側が、「かに道楽」の名称の使用を止めているので、「ヤマサちくわ」が譲ったように感じますが、「ヤマサちくわ」の側が、一商品の名称であるのに対して、「かに道楽」の側は、メインの看板そのものですから、泥沼になるまで争うよりは、一商品 の名称を変更したほうが良いとの経済的な判断があったのかもしれませんね。

 

今回は、事件の紹介に終わってしまったので、次回は、「裁判前の交渉」と「裁判での和解」とどんな点が違うのか、お話しできればと思います。

 

とにかく明るい弁護士の近況

新年あけましておめでとうございます!今年も明るく楽しくやっていきたいと思います。年末年始は、皆さまいかがお過ごしだったでしょうか?私は、帰省しなかったので、家で友達を呼んで鍋パーティーをしたり、みなとみらいの海沿いを散策したり、なかなか仕事で都合のつかない友人と飲んでいたりと、まあだいたいお酒を飲んでいたのですが、ゆっくりまったりと 過ごすことができました。年末年始は、しっかりと充電しましたので、今年も頑張って皆さまのサポートができそうです。今年もよろしくお願いいたします!!(文責:山村暢彦)