第29号 会社の業績に応じた賞与を支払うには?
前回(26号)では、賞与の法的性質をお話ししました。簡単に言えば、賞与は雇用契約を結んだからといって必ず支払わなければならないものではないが、契約や就業規則で、支払い額などを具体的に決めた場合は、その通りに支払わなければならない、というものでした。
しかし、会社としては、会社の業績や、社員の勤務成績に連動した柔軟な賞与制度を設けたいものです。それではどうするか。答えは簡単で、賞与について具体的な定めを設けなければよいのです。
「6月に2カ月分支払う」と定めてしまえば、業績に関わらずその金額を支払わなければならなくなってしまいますから、「会社業績や営業成績を勘案して査定の上、支給する」といった程度で定めてしまえばいいのです。もっと言えば、「経営状況によっては支払わないこともある」といった規定まで定めておけば、不支給の可能性があることがより明らかになるでしょう。
このような規定にした場合に問題となるのは、社員のモチベーションです。社員は、未だに給料を年収ベースで捉えていますから、賞与がはっきりしないというのは、モチベーションにも影響を与えます。したがって、例えば、賞与額を明示しない代わりに、「成績優秀な社員には臨時賞与を支給する」といった規定を設けつつ、それを実際に行うことなどの対応が必要でしょう。これは、法律よりも経営の話になりますが、最近では、社員の表彰制度が見直されているようです。昨今の社員は、金銭以上に、やりがいなどを求める傾向が強いと言われていますので、会社としても、賞与制度の見直しは、社員のモチベーションを真剣に考えるいい機会になるかもしれません。
新人弁護士のつぶやき
今回、表彰制度の話題が出てきましたが、マーケティングの本を読んだり、勉強会などで話を聞くと、最近は本当に表彰制度が見直されているようです。中には、最も失敗した社員を表彰してしまうというものや、サイコロを振って手当の額を変えたり、SNSを用いて他の社員にも分かる形で表彰したりといったユニークなものもあるようです。もちろん社風によっても違うのでしょうが、金銭面以外での評価というのは、社員のロイヤルティーに強く影響すると思います。私が従業員なら、おいしいものを食べさせてもらえれば頑張れます!!(今年は当たり鰹だそうです。)(文責:石﨑)
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