退職に関するトラブルについて(10)

今回は会社が希望退職者を募集する際の手続きなどについてご説明致します。

 

希望退職者を募集する場合、法律上の制限はありませんので、会社側で設定した、募集対象、人数、募集期間、(割増し)退職金の金額や支払方法等の条件を提示することが可能です。

 

会社の業績の悪化がないときでも実施は可能ですが、一般的には人員削減や会社再建のための整理解雇の前段階として行われます。

 

整理解雇を行う場合、整理解雇の前に「解雇回避措置がとられた」ことが必要ですので、整理解雇の前段階として希望退職者を募集します。

 

希望退職者を募集すると決めたら、募集対象者、募集人数、募集期間などを明示した要項を作成し、発表します。退職金規程がある場合は、会社都合による退職金を提示しますが、希望退職者を集めるために割増しした退職金を提示することもあります。

 

事前に募集対象者とは面談をして、不安や混乱が生じないよう、会社の状況、希望退職を募集する理由、募集要項の内容などを説明しておいた方がよいでしょう。

 

面談は、例えば、辞めてほしくない従業員には慰留を行ない、辞めてほしい問題社員などには退職勧奨をすることが考えられます。
ただ、退職勧奨は退職の強要にならないように注意が必要です。特定の人だけを恣意的に希望退職の対象にした場合も、退職強要などといわれてしまう可能性がありますので注意しましょう。

 

応募を受け付け、募集期間が満了したあるいは募集人数に到達した時点で募集を締め切り、希望退職者の退職と退職金の支払がスムーズにできるようにしておきましょう。

 

日々の雑感

今年も残すところあとわずかですね。このところ急に寒くなってきましたので、皆様もお体にお気をつけて、どうぞ良いお年をお迎えください。今年一年間ありがとうございました。                                  (2024年12月20日  文責:下田 和宏)