外国人雇用の法務(15)

今回は、外国人雇用に関して、弊所が受けたことのある相談から一つご紹介して、解説したいと思います。
 その質問というのは「外国人労働者向けの就業規則を作ってよいか?」というものです。

 既に見てきたように、外国人労働者には、その業務内容に見合った在留資格が必要になり、業務内容、転籍などの条件について、他の従業員とは異なる制限がかかることもあるため、外国人専用の就業規則というものを考えたくなるのはもっともなことです。
 しかしながら、原則的には、そのような個別の就業規則を作ることは、NGと言われています。それは、労働基準法3条に、国籍の違いで、労働者に差別的な扱いをしてはならないと規定されているからです。
国籍以外の条件であっても、不合理な区別自体をすることは違法ですから、就業規則自体は、そもそも柔軟な適用が出来るようにしておいた方がいいでしょう(例えば、転籍で言えば、場合によっては転籍があるということだけ明記することが通例でしょうから、それを変に細かく加筆していく必要は無いでしょう。)
 ところで、この労働基準法3条は、いうまでもなく、憲法の平等権を反映したものです。不当な差別が禁止されているわけです。ということは、その区別が合理的なものであれば、その区別は認められる可能性があります。

ですから、入管法が要請する制限を守るような区別を行うこと自体は適法でしょう。
そして、職種や就労形態ごとに適用される規定を就業規則に設けること自体は禁止されていません。外国人を特定の職種に登用しているということであれば、就業規則や雇用契約書を用いて、別途の合意が出来る可能性があるでしょう。

 

物好き弁護士のつぶやき

最近掲載させて頂いている、娘の成長記の続編です。
 おかげさまで、1歳3か月となりました。外での散歩が大好きで、玄関に置いた靴を見つけると、私のところに持ってきて、外に出たがります。11月は、落ち葉が辺りの道に落ちているため、止まっては拾いで、一向に進みませんでした。
 また、言葉のようなものも、だんだん話すようになってきました。絵本を持ってくるので読んであげます。すると、人差し指を立て「ポッカイ」と言って、再読をお願いしてきます。こうして、延々と同じ本を読み続けております。

                                                                                                                   (2024年12月2日  文責:原田 大士)