管理監督者をめぐる問題④

前回から引き続き、会社における管理監督者(いわゆる管理職)をめぐる問題について解説していきます。

前回は、管理監督者性が認められるための3つの条件についてみました。

おさらいすると、①重要な職責、②労務管理の裁量、③ふさわしい待遇の3つで、これら全てを満たさないと管理監督者性が認められないというお話でした。

では、具体的にはどのような場合に各要素が認められているのでしょうか。
まずは①について裁判例をみてみます。①に関する裁判例では、下記のような立場の方々について管理監督者性が認められています。
・経理、人事、庶務全般に関する事務の管掌を任せられていた総務部次長
・人事や経営に関して実質的な判断権限を有していた社内ナンバー2
・全国の支店の営業全般を統括する立場にあった営業部門責任者
・経営会議のメンバーで、一定の人事権を有していた営業部長
・取引先への発注権限や部署の労務管理権限を有していた部長
・採用・配置といった人事上の重要事項の決定権を有していた課長

このような裁判例からは、
・経営上の重要事項に関する決定に関わっているか
・一定程度の規模を有する部門の、全体を統括するような立場にあるか
・人事に係る権限を有しているか
といった点が見られていることが分かります。
そして、相当な立場にあるか、又は重大な権限を有している方でないと、管理監督者とは認められない傾向も読み取れます。

このような判断基準は厳しすぎるのではないかという批判もありますが、会社としては、このような傾向を押さえておく必要があるでしょう。

 

Atty’s  chat

今週末は、旅行で屋久島へ行ってきます。縄文杉を見てくる予定なのですが、縄文杉までの登山コースは、片道11kmもあるのですね(調べるまで全く知りませんでした)。なかなか大変そうですが、その分拝めたときの達成感とありがたさは増すように思います。途中で力尽きて引き返すなんてことがないよう、頑張ってきます。   

                                                                                                                    (2024年11月8日 文責:越田 洋介)