外国人雇用の法務(14)

これまで、外国人雇用の法務と題しまして、不法就労助長罪のリスクから始まり、外国人の在留資格の種類などについて解説してきましたが、このシリーズもそろそろ終盤。

 これまで、外国人雇用ニーズの増加や雇用の際の注意というトピックが社会的にも話題なので取り上げてきましたが、いわゆる外国人の不法残留も大いに話題になっていますので、今回は、番外編として、お話したいと思います。

 出入国在留管理庁の発表によると、令和5年7月1日時点で、在留期間の更新又は変更を受けずに、日本に滞在することを許された期間をすぎて滞在している人、つまり不法残留者は、7万9101人に上るそうです。その年の増加率が、前年比で12.2%とのことで、増加傾向にはあるようです。

 このうち4万9485人が、短期滞在(たとえば、観光などで短期的に入国した者)から、オーバーステイとなった者であるとのことで、技能実習生と特定技能のオーバーステイを足すと、1万9728人で、やはり前年から増加しております。

 不法残留は刑事的な「逮捕」などを経て起訴される場合もあり、その場合執行猶予付判決となることも多いのですが、判決後であっても、釈放とはならず、入管法の手続きとなり、「収容」が続くと言われています。オーバーステイは、刑事手続きを経ないでも、収容自体は可能です。そして、刑事手続きを経ても経なくとも、基本的には退去強制命令が待っていますが、命令が出ても強制送還まで収容が長期化するケースもあります。

 このように、収容や刑事手続きは強固な面がある一方、収容に対しては、仮放免制度で身柄が出られる可能性があり、そこから退去強制を拒否ないし逃亡するという事例もあるようで、問題視されているところでもあります。

 

私のコラムとしては、外国人労働者を取り巻く、様々な事情をお示しするにとどめます。少なくとも、会社の立場からすれば、不法残留の外国人を雇うことが不法就労助長罪に該当するため、ご注意頂ければと思います。

 

物好き弁護士のつぶやき

現代アートが好きという趣味のお話を以前したかと思います。そんな自分からすると、DIC川村記念美術館が閉館すると聞いた時はショックでした。マーク・ロスコの部屋とか、フランク・ステラのコレクションとかは、世界レベルなはずです。一方、ユーザーとしてみると、美術館までのアクセスは少し大変で、、、おまけに家族は興味ないでしょうから、どういう理由を付けて閉館前にもう一度見に行くか、かなり困っています。ランチがおいしいから、誘ってみるか。。

                                                                                                                  (2024年10月30日 文責:原田 大士)