管理監督者をめぐる問題③

前回から引き続き、会社における管理監督者(いわゆる管理職)をめぐる問題について解説していきます。

 

前回は、管理監督者性が否定された事件をいくつか紹介しました。どれも大手企業の店長等の職位にあった方々に関するものであり、管理監督者として認められるためのハードルの高さのようなものを感じてもらえたのではないかと思います。

今回は、少し堅苦しくなりますが、法律上、管理監督者とはどのように考えられているのかをみていきます。

まず、法律の条文上は、管理監督者は「監督若しくは管理の地位にある者」(労基法41条2号)と定義されていますが、これでは抽象的で全く分からないですよね。
そこで、これまでの裁判を通じて、より具体的な判断基準が示されるに至っています。具体的には、下記3つの要素を満たす労働者が、管理監督者に当たると考えられています。
① 使用者と一体といえるような、職務・責任を有していること(職責)
② 自らの勤務時間を自主的かつ自由に決定できること(労務管理)
③ 賃金や手当などの面で、ふさわしい待遇を受けていること(待遇)

これら①から③の要素は、裁判例での表現としては、あくまでも「考慮要素」とされています。つまり、これらの要素を加味して、総合的に判断するということですね。しかし、判断の実態をみると、①から③の内の一つでも欠けている場合には、管理監督者性が否定される傾向にあります。すなわち、実態は「考慮要素」ではなく「条件」と考えられているのです。
そのため、会社としては、これら①から③までの要素を漏らさず満たすよう気を付けるべきといえます。

それでは、どのような場合に①から③の要素が認められる(又は認められない)のでしょうか。

 

次回からは、この点を掘り下げていきたいと思います。少し堅苦しい話が続きますが、どうぞお付き合いください。

 

Atty’s  chat

今期の自転車レース3つの内、2つに出場し、無事に完走してきました。残すは箱根で開催されるレース1つのみです。これまで2つのレースでは自己ベストを更新できたので、是非最後のレースでも更新できるよう、全力で走ってきます。

                                                                                                                    (2024年10月3日 文責:越田 洋介)