退職に関連するトラブルについて(7)

今回は、従業員が突然、有給休暇を消化した上で退職したい、といってきた場合の対応について説明いたします。

 

まず退職日ですが、就業規則に「退職する場合は、〇ヶ月前に届出る」など定めている場合には、この規定に従ってもらいます。ただし、民法では、退職は2週間前に予告すれば有効とされており、民法と就業規則のどちらが優先するかというのははっきりしていません。

 

従業員の申し出た退職日が就業規則の規定通りであれば問題ありませんが、これよりも短い退職日の場合には、従業員と話し合う必要があります。

 

次に、有給休暇の取得についてです。
会社は「事業の正常な運営を妨げる」場合には、有休の取得日を変更することができますが(これを時季変更権といいます。)、退職日以降に変更することはできません。つまり、退職日が決まっている場合には、退職日までの間しか変更はできません。

そうすると、退職日と残りの有休の日数によっては、業務の引継ぎに十分な日数を確保できない場合もあり得ます。
このような場合、例えば、従業員には引継ぎのために出社をしてもらい、退職後に消滅する日数分の有休を買い取るなどの方法が考えられます(ただし、従業員の同意が必要です。)。

もっとも、退職日や有休について、従業員が一方的に予告して翌日から出社しなくなってしまった場合、業務に支障が出たとしても、損害賠償請求等はなかなか認められません。

 

日頃から従業員の様子に注意し、退職のルールの周知と突然の退職にも対応できるようにマニュアル化などもしておくのがよいでしょう。

 

日々の雑感

朝夕が涼しくなり少しずつ秋らしくなってきました。
外に出かけやすい時期になり、子供と一緒にどこに出かけようかと話しています。
ただ、まだ30度を超える日もたまにあるようですので、熱中症には気をつけたいと思います。

                                                                                                                   【2024年9月5日 文責:下田 和宏】