管理監督者をめぐる問題

多くの会社において、管理監督者(いわゆる管理職)という職位の方々がいらっしゃいます。
管理監督者の一番の特徴はやはり、労基法上の労働時間等に関する規定が適用されないことでしょう。細かい法律はご存じなくとも、「管理職には残業代がつかない」という認識は、多くの方がお持ちのはずです。

管理監督者の制度は、適正に運用されれば、会社にとっても労働者にとってもメリットのある制度であることは間違いないでしょう。
しかし一方で、この管理監督者をめぐって多くの争いも起きています。労働問題において、管理監督者をめぐる争いは頻出といえるでしょう。

では、どのような争いがあるのでしょうか。
具体的には、労働者側が「自分は管理監督者として残業代が付かずに働いてきました。しかし、自分は実質的には管理監督者には当たりません。よって、これまで未払であった残業代を支払ってください」として会社に未払賃金を請求してくる事案が多くみられます。

会社としては、「管理職にして給与も相応に支払ってきた。何より本人も納得してたはずだ。それなのに、いまさら請求するなんて」と思うでしょう。
しかし、このような争いは頻出であり、そして会社側に不利な判断が下される(未払残業代の支払を命じられる)ことが多くあるのも事実です。

しかも、管理職として高給であったため、給与をベースに算出される残業代も高額となることも少なくありません。こうなってしまっては、会社としては踏んだり蹴ったりですよね。
このように、管理監督者という制度は、しっかりと運用しないと争いにつながるおそれのあるものなのです。

次回からは、管理監督者をめぐって具体的にどのような争いが起きているのか、そこではどのような判断が下されているのか、それを踏まえて会社としてはどのような対策ができるのかを、実際の裁判例等を引用して解説していきます。

 

Atty’s  chat

先日、動画配信サービスで「ゴジラ-1.0」を鑑賞しました。日本の娯楽映画にしては珍しく、世界的にも評価されているとのことで期待を膨らませていたのですが、感想は「・・・?」でした。ただ、映画には劇場で見ないと分からない魅力もありますよね。近頃みなとみらいに新しい大型映画館ができたので、この機に劇場での鑑賞機会を増やしたいと思っています。                                                                                                              (2024年7月24日 文責:越田 洋介)