助成金に関する問題③

これまで、雇用調整助成金や休業支援金などの助成金受給に際し、それが不正ないし不適正な受給であった場合のリスクについて解説してきました。

それでは、実際に不正ないし不適切な受給に当たるかもしれない受給実績が見つかった場合、会社としてはどう対応すべきでしょうか。特に、労働局に対して自主的に申告すべきかどうかが悩ましい問題といえるでしょう。

労働局側からの調査等に先立ち、会社側から自主的な申告ないし相談をし、仮に返納すべき金額があれば返納するという対応が、コンプライアンス的には最適であることに間違いはありません。

しかし、場合によっては返納額が高額で負担となる、公表によってレピュテーションリスクが生じるといったおそれもあります。

そのため、自主的・積極的な対応はせず、まずは事態の推移を見守る(労働局からの連絡があるまでは静観する)ということも考えられます。

 

そもそも労働局側の対応は、一般的には、①書面による実地調査の依頼→②労働局において聴取及び賃金台帳や出勤簿等の確認→③従業員からの聴取など追加調査→④受給の適否についての判断と進んでいきます。
そして、労働局側での対応が開始した後であっても、速やかに事実関係を報告し、不正ないし不適正な受給を認めれば、自主申告があったものとして扱われる余地もあります。
そのため、労働局側からの動きがあるまでは静観するということも、現実的な選択肢といえます。
ただし、このような対応を自主申告とみなすかは労働局側の判断にも依るため、その点にはくれぐれも注意が必要です。

 

どのような対応を取るべきかは、簡単には判断しかねる難しい問題です。受給内容や受給に至った経緯などの詳細な事実関係にも依るため、まずは専門家に相談することが最善です。

 

Atty’s  chat

皆さんは今年のGW、いかがお過ごしでしたでしょうか。全国的には、どこにも出かけず地元で過ごされる方が多かったようですね。私も、今年は特に出かけず、地元や自宅に留まってトレーニング三昧の日々を過ごしていました。これから6月にかけては、ピークを外して少しは観光にも出かけたいと思っています。これからの季節、訪れるのにお勧めの場所がありましたら、是非とも教えてください。                                                                  (2024年5月15日 文責:越田 洋介)