外国人雇用の法務(9)

今回からは、在留資格のうち、昨年、そして今年にも改正が行われた「特定技能」について解説していきます。

 

「特定技能」という在留資格は、特定の業界(例えば、介護や建設など)について、人材を確保する観点から、2019年に創設された在留資格です。特定技能制度の意義は「中小・小規模事業者をはじめとした深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築する」と定義されています。

 

この「即戦力」というのは、この資格の特徴を表すキーワードです。特定技能の在留資格は、1号、その上に2号という階層があり、2種類の資格で構成されています。
そのうち、特定技能1号は、「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」とされています。
相当程度の知識または経験を必要としていますが、それで足ります。資格を取る方法は、在留資格「技能実習生」から一定の要件をクリアするルートと、特定技能試験に合格するルートがあります。

 

特定技能試験(各分野に対する技能試験と日本語試験)に合格すればよいため、前回まで紹介していた「技術・人文知識・国際業務」と違って、学歴や実務経験が問われず、また、技術の熟練までは求めず、特定技能1号は、間口が広くなっています。

そして、この在留資格は一定の産業分野にのみ許可が認められているのですが、そういった業界(介護や建設など)には単純労働も多いです。「技術・人文知識・国際業務」では単純作業をメインに行わせることが出来ない反面、特定技能は、単純労働をすることも前提のうえでつくられた制度であり、活用が注目されているのです。(つづく)

 

物好き弁護士のつぶやき

ゴールデンウイークの代わり、結婚2周年ということで、妻とトゥールダルジャン東京に行ってみました。普段、多くのレストランでナイフとフォークを持ち換えて食事している私も(白状します)、この時ばかりは置いてある通りに使いました。
本当に美味しかったです。フランス料理の食文化の重みに感服しました(私の食レポはもう少し重みが出せるよう、勉強して参ります)。                                                                                                  (2024年5月8日  文責:原田 大士)