傷病手当とは?

前回は労災のお話をさせていただきましたが、今回はそれと似て非なるものである「傷病手当」についてお話をいたします。

労災も傷病手当も、「怪我や病気などで働けない」場合に一定の補償がなされるという意味では似ている制度です。

その一方で決定的に違う点が、「労災=業務上の怪我や病気の場合」「傷病手当=プライベートでの怪我や病気の場合」の補償であるという点ですね。

 

例えば車を運転中の交通事故で怪我を負ったというケースで考えると、「通勤中や外回りの最中の交通事故=労災」「プライベートでの運転中の交通事故=傷病手当」となる可能性が高いのですね。

会社としては、労災なのか傷病手当なのかによって、その責任や手続などが全く異なってきますので、この境目は非常に重要な点となります。

 

ただ、この「業務上なのかプライベートなのか」という境目が、なかなか明確な線引きが難しく、これまでに裁判で争われたケースも多数あります。

グレーだけれども「業務上ではなくプライベート」と判断されやすいのは、例えば「業務の延長としての飲み会であっても、過度の飲酒を行い逸脱行為をした」というケースや「会社の中でスポーツをやっていた場合であってもそれが休憩時間に自発的に行われていた場合」「通勤中であってもプライベートでどこかに寄っていた場合の事故」などですね。

 

会社の立場では、従業員が怪我を負ったり病気になった場合、どういう原因でそうなったのかという事実関係を判断して、関係各所に届出や報告をすることが必要になります。

具体的な事実確認をせずにどちらかだと断定すると、後々のトラブルの元にもなりかねないので、慎重な判断が必要になってくる場面だと思います。

 

弁護士の徒然草

最近「骨伝導イヤホン」の便利さに気が付きました。
骨伝導式なので、普通のイヤホンと違って耳の穴に何かを入れるのではなくて、耳付近の骨に接触させて音を聞き取るという形式です。
これの何が良いかというと「周りの音も聞こえるので安全」「ある程度激しい運動でもずれない」という点です。逆立ちしても全くズレません。
ビール腹がこれ以上出るのを防ぐためにジョギングやスポーツをする際に非常に有効で、重宝しています。

                                                                                                                 (2024年4月30日 文責:佐山 洸二郎)