助成金に関する問題➁

前回は、雇用調整助成金や休業支援金などの助成金受給をめぐり、後にそれが不適切な受給として問題化する事例が多くみられるというお話をしました。

不適切な受給といっても、制度上認められないものと知っていて意図的に行うものと、手続上の間違いなど手違いによるものとがあります。前者は不正受給、後者は不適正受給と区別されることもあります。

不適正受給であれば、不適正な部分のみの対応、すなわち過大に受給してしまった部分の返納等で終結する場合もあります。
一方、不正受給の場合、①不正受給部分の返納、②その他の部分(適正に受け取った助成金)の返納、③不正受給額の2割の違約金、④年3%の延滞金という非常に重いペナルティが科されます。またこれに加え、事業主名が公表される可能性があることも、前回お話のとおりです。

このように、不正受給となると会社へは非常に大きな負担が生じることから、不適切な受給が見つかった場合には、それが不正受給か否か(意図的なものか手違いか)をしっかりと判断しなければいけません。
また、会社から見ると、意図的なものと手違いによるものとの中間のようなものもあるでしょう。つまり、会社として意図的に運用していたものの、それが不正受給にあたるとは認識していなかったという場合です。一例として、雇調金を受給しつつ従業員に教育訓練を施していたところ、カリキュラムの空き時間に簡単な仕事をさせてしまった、という場合などが想定できます。

助成金の不適切受給に関しては、労働局と協議して対応していくことになります。この際、労働局側の言い分に従って対応していると、本来は不正受給とまではいえないような事案でも、不正受給とみなされてしまうおそれもあります。
そのため、会社として事実関係を精査の上、どのような弁明ができるか、検討する必要があるでしょう。

また、仮に不正受給をしてしまった場合であっても、労働局へ自主的に申告することで、公表を避けられる場合もあります。
そのため、適正か疑わしい助成金受給が見つかった場合、決して放置せず、速やかに事実確認を進めていくべきです。

 

Atty’s  chat

3月は、出張の機会に姫路市で姫路城を観光してきました。
流石は名高い名城だけあり、その存在感には圧倒されるものがありました。姫路城といえば白漆喰による白色の美麗さが有名ですが、個人的には、石垣の緩やかな曲線に優美さを感じました。これで三名城のうち、名古屋城と姫路城は見たので、後は熊本城を見てみたいと思っています。                                                             (2024年4月9日  文責:越田 洋介)