実録・労働審判⑥
これまで、労働審判について5回にわたってご案内してきました。今回は最終回で、労働審判から訴訟に移行した後のことについて、どのように進行していくのかお話します。
まず気になるのが、訴訟も労働審判と同じ裁判官が担当するのか、という点かと思います。これについては、基本的に別の裁判官が担当します。わざわざ訴訟としてやり直す以上、別の裁判官に担当してほしいというのが普通の感覚でしょうから、一応は安心ですね。ただ、小さな裁判所で、そもそも裁判官が少ないという場合などには、同じ裁判官が担当することも皆無ではないようです。
では労働審判で提出した書面や証拠はどうなるのでしょうか。
書面については、一から書き直すことも、労働審判段階の書面をそのまま用いることもできます。多くの場合、労働審判段階の書面をベースに、弱いと思われる箇所を補強するなど、適宜修正したものを提出します。労働審判において主張のどの部分が認められないかについて、裁判所の意見が示されています。それを踏まえて、より主張を充実させていくわけです。
証拠についても、労働審判段階で出したものに加えて、書面の修正に合わせて必要な証拠を追加で出します。
このように、労働審判で用いた書面や証拠を適宜アップデートし、改めて提出していくことになります。
最後に、進行はどうなるのでしょうか。
通常の訴訟では、ほぼ1か月半から2か月に1回のペースで期日があり、それを6回程度は行います。そのため、通常の訴訟では最低でも1年はかかることが大抵です。
一方、労働審判から移行した訴訟の場合、双方の主張の大部分は労働審判段階ででています。そのため、工程をギュッとまとめて、期日を半分程度に短縮して短期間で終える傾向があります。
それにより、最初から訴訟の場合の期間と、労働審判の期間+訴訟に移行した後の期間は、ほぼ同じになるといわれています。
このように、訴訟に移行した後も速やかに進行させることで、当事者の負担が軽減されるといえます。
Atty’s chat
去年は新しい趣味としてボルダリングを始め、これに熱中した一年でした。充実してはいましたが、毎日ジムに入り浸っていたため、新たな刺激が少なかったのも事実です。そこで今年は刺激を求め、積極的に旅行に行こうと思っています。具体的には、①毎月1回は旅行する、②1年で経県値(訪れたことのある都道府県数)を10上げる、というのを目標に定めました。毎回このコメント欄で、旅の報告ができるように頑張ります。 (2024年1月22日 文責:越田 洋介)
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