「夜勤手当」の固定残業代の有効性について

今回は、タイトルのとおり、「夜勤手当」の固定残業代の有効性について、ご説明致します。
「○○手当」という名称でいくつか手当を支給されている企業は多いかと思います。

 

この「○○手当」は、残業代を算定する際に、基礎賃金(基本給など)に含まれるのかどうかというので争いになることがあります。基礎賃が大きければ、その分時間外割増賃金が増えることになりますので、企業としては含まれないほうがよいということになります。

 

ただ、基礎賃金から除外される手当というのは、「家族手当」や「通勤手当」のように法令で決められているものに限定されますので、原則としてそれらに該当しない「○○手当」は基礎賃金に含まれると考えられます。

そこで、「○○手当」は、固定残業代として支給していたものだ、という主張をすることがあります。

タイトルの「夜勤手当」の固定残業代の有効性について判断した裁判例があります(大阪地判令和4年8月15日)。

 

同裁判例では、夜勤手当について賃金規程等に具体的な規定がないこと、夜勤の時間帯が労基法上の夜間割増の対象時間と一致していないことから、「夜勤手当の中に夜間割増として支給する趣旨が含まれているとしても、割増賃金の趣旨で支払われる部分と、その余の夜間割増の対象とならない夜勤部分に対する部分とが明確に区分されていない・・・夜勤手当は基礎賃金に含まれる」として、「夜勤手当」を固定残業代として認めませんでした。

 

固定残業代として「○○手当」を支給している場合には、固定残業代として有効と認められるためのルールを守る必要があり、上記は参考になる裁判例といえます。

 

日々の雑感

急に寒くなりましたね。先週頭まではまだ暑かった印象ですが、週末から冬用の上着が必要かなと思うほど寒くなりました。
皆様もお体に気をつけてお過ごしください。                                                  (2023年11月13日   文責:下田 和宏)