労働条件明示義務とは?

「労働条件明示義務」という言葉、皆様はご存じでしょうか?

これは、その字義通り「会社は、労働条件を、従業員に明示しなければならない」という義務です。

その意味は比較的シンプルで分かりやすいですね。

その一方で、「どのように」「何を」明示しなければならないのでしょうか?

まず「どのように」の点ですが、原則として「書面」とされております。

その書面は形式にかかわらず「雇用契約書」「労働条件通知書」「就業規則」など、何らかの形で書面にて明示しておく必要があるとされています。

もっとも、従業員が希望した場合は、ファックスやメールでも良いとされています。

もちろん、もともと就業規則に記載する必要がある事項については、ファックスやメールでなく就業規則にしっかり記載する必要があります。

そして「何を」の点は、「労働基準法施行規則第5条第1項」で、かなり細かく、11個に渡って指定されています。

代表的なところとしては、「就業の場所」「労働時間に関する内容」「賃金に関する内容」「退職に関する事項」などです。

この義務を怠った場合、悪質なケースでは、30万円以下の罰金が科されることになっております。

時代を遡れば、賃金以外の条件がほとんど明示されていないような状況が問題視され、このように、その明示内容や方法が細かく法律で規制されるに至ったのですね。

雇用契約書(または労働条件通知書)や就業規則がばっちり規定されている企業様では大丈夫だと思いますが、意外に盲点や落としている事項があるかもしれません。

紙幅の都合上11個全てをここで挙げることは出来ませんが、インターネットで「労働基準法施行規則第5条第1項」と検索すると、すぐに内容が出てくると思います。

 

この機会に是非1度ご確認いただければと思います!

 

弁護士の徒然草

このところ、弊所周辺に立て続けにカフェがオープンしております。
官庁街であり観光地でもあるため、人出はかなり多い地域です。
その割りにカフェは少なかったので、とても望ましいことだと思います。
その一方で、その場所にはコロナ禍以前には違う飲食店があったことを思い出すと、コロナ禍の爪痕や、柄にもなく諸行無常も感じることがあるのです。                                                                     (2023年9月4日  文責:佐山 洸二郎)