会社に役立つ刑事豆知識(9)

前回から、外国人雇用を新たなテーマに、不法就労助長罪に陥りやすい事例紹介や、陥らないようにするためのリスク管理について解説を始めました。

雇った外国人が不法就労であったことを会社が知らなくとも、注意義務を怠っている(過失がある)として、刑事罰の対象になってしまう可能性があるとお伝えしました。

 

不法就労助長罪の法定刑は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」となっております。懲役刑(執行猶予も含みます)と罰金刑が併科されることもままあります。

会社の代表や、直接労働者を指揮監督していた上司などには、そのような刑事リスクがあるとともに、法人も同時に罰金が科せられる可能性があります。

 

前科がつくと、技能実習や特定技能の外国人を受け入れることができなくなったり、営業許可の種類によっては取消しを受けたりするというデメリットも出てきます。

そういったリスクを少しでも回避するということが、コラムの主眼になります。

 

さて、注意点や確認作業の解説をするなかで、在留カードの確認を避けて通ることは出来ません。今後のコラムでも在留カードは頻出しますので、今回は、在留カードがどんなものか、まずはお伝えします。

 

在留カードとは、入管法上の在留資格をもった外国人に交付されるカードです。

在留資格とは、外国人が滞在中に、合法的に活動することのできる範囲を表した資格です。

文章だけですと分かりにくいですので、在留カードの図を描いてみました。英語のキャプションは省略し、どこにどんな情報が記載しているか示しています。

 

この図は、留学生の在留カードを例にしています。

留学生の場合、基本的に在留資格が「留学」となっており、就労制限の有無が「就労不可」となっています。

在留カードを確認すれば、その人が留学を理由に滞在をしており、原則就労不可能だということが分かります。

次回以降の解説で、少しイメージしづらい場所が出て来ましたら、この図を参照して頂けましたら幸いです。