労働基準監督署に未払賃金を指摘されたら?

前回は、労働基準監督署(労基署)が「会社が労働法に違反していないか監督している労働警察」というお話をしました。

今回は、「労基署から未払賃金の調査を求められたり指摘を受けた際にどうすれば良いのか」というテーマを取り上げたいと思います。

従業員が労基署に「未払賃金がある」と相談した際などに、労基署から会社には、まず「未払賃金がないかどうかの調査」が求められます。

まず会社としては未払賃金がないかどうかをしっかり計算し直した上で、労基署に報告をすることになります。
その上で、未払賃金が存在することがほぼ確実な場合には、労基署から、一定の期間を遡って未払賃金を支払うことが求められることが多いです。

そして、それに従わないでいるなど悪質なケースだと、送検などにより刑事事件化して罰金などを受ける可能性が出てきます。

「未払賃金が存在することがほぼ確実」というのは、例えば1日9時間働いた日があるのに、法定労働時間である8時間を上回っている1時間について時間外割増賃金が支払われていない場合などです。

その一方で、例えば上記のようなケースでも「変形労働時間制」や「裁量労働制」などが採用されている場合、「未払賃金が存在することがほぼ確実」とまでは言えないのですね。

その場合は労基署であっても会社に支払いを求めることまでは出来ないことが多いのです。

こういったケースで最終的な判断をするのは、やはり「裁判所」になるのですね。

労基署の場合は「国と会社」という構造の一方で、裁判の場合は「従業員と会社」という構造なので、構図が違う中で、未払賃金の有無を争っていく形になります。

 

弁護士の徒然草

日本プロ野球で「令和の怪物」と呼ばれている「佐々木朗希」という選手がいます。
この「朗希」は「ろうき」と読むのですが、かなり珍しい名前ですよね。
パソコンで「ろうき」と打ち込んだ際はまだ「朗希」と変換出来ないようなのですね。
そして私のパソコンだとどのように変換されるのかというと…ほぼ確実に「労基」となります。やはり、このコラムを始めとして色々なところで「労基」「労基」と書いているからでしょうね、、職業病のようで嬉しいような虚しいようなです。
インターネット上でも同じ誤字をしている方がいらっしゃったりすると、クスりとしてしまいます。

 (2023年7月31日 文責:佐山 洸二郎)