会社に役立つ刑事豆知識(5)

前回に引き続き、会社が行う防犯対策について考えていきたいと思います。

今回は、防犯カメラを設置する際に注意をしたい点を解説致します。今回のお話は、お客さんが来るような場所にカメラを設置する場合でも、従業員が主に使う場所に設置する場合でも当てはまる話です。

 

防犯カメラの設置で注意したい点は、根本的には前回の所持品検査と同じです。それは、撮影された人のプライバシーです。

基本的に一般的な防犯カメラの映像は、個人情報保護法で保護される個人情報になると考えられ、個人情報保護法のガイドラインを守ってカメラを設置することが望ましいです。

例えば、どのような精度の防犯カメラであれ、防犯カメラが作動中であることを、店舗の入り口や設置場所の近くに掲示するなどしたほうが良いとされています。

また、最近の防犯カメラは精度が高く、顔認証データを取得できるような場合もあるでしょう。そういった複雑な映像情報の処理が想定されている防犯カメラについては、先ほどの掲示内容に、防犯カメラの映像やそこから得られる顔認証データを捜査機関へ提供するなど、防犯目的で使用することを明記する必要があります。

 

悪いのは犯罪をする人で、防犯カメラを設置する側にいちいちケチをつけない欲しいと思う方もいらっしゃると思います。

私も共感するところがあります。

もっとも、これらの規制、防犯カメラの効果を高める役割もあると思います。カメラが回っていることを意識させたほうが、人は悪い事をしにくくなるでしょうから。

ですので、施設の掲示板なども使って、防犯カメラの設置は告知しておいたほうがいいでしょう。

 

物好き弁護士のつぶやき

今回のお話は、専ら、個人情報保護法が問題となる会社に当てはまる話ですが、カメラを付けて防犯対策というのは、個人宅でも同じことかと思います。
親戚が特殊詐欺の被害に合いそうになった経験や、刑事事件に携わる経験上、カメラ付のインターホンなどは、犯罪抑止や、犯人特定のために強い威力を発揮するように思います。
ドアについているスコープはのぞき込むのが少し怖いな、と子供の時から思っていました。ですから、インターホンのカメラはそういう意味でも便利だなと思います(インターホンのカメラに恐ろしいものが映ったらそれはそれで怖いですが、、)。                                                                                                     (2023年2月7日 文責:原田大士)