第8回 有給休暇はしっかり取得されているか?
有給休暇とは、休んでいるのに給料が出る日のことですね。
従業員の普段の頑張りへのご褒美、といった意味合いが強いのではないでしょうか。
シンプルに言うと、「6か月以上継続して勤務」「全労働日数の8割以上出勤」している場合に、10日分発生します。
しかし残念ながら…日本では伝統的に「休んでいるのに給料をもらうなんてけしからん」「休むと周りの目が気になる…」などの理由で、有給休暇がほとんど使われていないという状況でした。そして、有給休暇を使わないでいるうちに、時効で消滅してしまう…という事態が非常に多かったのですね。
そこで日本の労働法では、2019年4月から、「会社は従業員に有給休暇を取得させなければならない」というルールが始まりました。
その結果、会社は、従業員に、有給休暇が発生してから1年以内に最低でも5日間は取得させなければならないことになっております。
これは会社の義務であって、それに違反した場合は30万円以下の罰金という刑事罰まで規定されています。
それに伴い、有給休暇を従業員にしっかり取得させる企業がかなり増えてきています。
出来れば、会社側から従業員に、有給休暇を取得するよう積極的に促していけることがベストだと思います。
正直なところ会社としても「なんで休んでいる人に給料を…」「そこまでしてしまうと経営が苦しい…」と考えてしまうのも自然なことかと思います。
ただ、「休むのも仕事のうち」という言葉もあります。少し理想論になってしまいますが…しっかり休みをとってもらって
こそ、従業員の意欲や業務効率も上がるのではないかと思います!
弁護士の徒然草
学生時代に、労働法を意欲的に学んでいた同級生から聞いたエピソードがあります。バイト先のスーパーで店長に「有給休暇を使わせて欲しい」とお願いしたところ「バイトで有給休暇なんて言ってきたのは君が初めてだよ……」と苦笑いされて、なんとなく煙たがられるようになったそうです…。見落としがちな点ですが、アルバイトやパートでも、有給休暇は発生するのですね。当時こそそういう状況でしたが、最近はアルバイトやパートでもしっかり有給休暇が取得できる企業が増えていると思います! (2022年11月28日 文責:佐山洸二郎)
- 会社に役立つ刑事豆知識(6)
- 株主が誰か把握できているか?
- リスクがない取引などない
- テレワークを行う場合の労働時間の把握(12)
- 弁護士会照会について
- 会社に役立つ刑事豆知識(5)
- いわゆる36協定は締結されているか?
- 電子マネー(PayPayなど)の強制執行
- 退職した元従業員からの請求(11)
- 統計でみる労働審判
- 会社に役立つ刑事豆知識(4)
- 有給休暇はしっかり取得されているか?
- バーチャルオフィスの会社に対する債権回収
- 労働時間の端数処理(10)
- 統計でみる裁判のいま
- 会社に役立つ刑事豆知識(3)
- ハラスメントが起きてしまったら、具体的に何をすべき?~絶対にやってはいけないことは~
- 財産開示手続に出頭しないとどうなるの?(摘発状況)
- 団体交渉への対応⑤
- 会社に役立つ刑事豆知識(2)
- ハラスメント防止と言っても、具体的に何をすべき?
- 財産開示手続に出頭しないとどうなるの?
- 年次有給休暇の取得義務化とは(9)
- 部下を𠮟ったらパワハラですか?(5)
- 団体交渉への対応④
- 会社に役立つ刑事豆知識(1)
- 従業員のマタハラを放置していないか?
- 債権回収編【特別編】うっかり誤振込をしてしまったら・・・2
- 部下を𠮟ったらパワハラですか?(4)
- 団体交渉への対応③