団体交渉への対応⑤

これまで複数回にわたり、団体交渉への対応についてお話してきました。今回は団体交渉の終了場面についてお話いたします。

団体交渉の終わり方は様々ですが、大きくは①妥結と②打切りに分けることができます。

 

妥結とは、お互いに譲歩し合うことで交渉がまとまり、一定の合意に達する場合をいいます。妥結を目指す場合に重要なのが、相手方の要求の真意を見極めることです。例えば相手方が解雇無効を主張しているときに、本当に職場復帰したいのか、それとも解決金をもらって終えたいと考えているのかということです。この点を見誤ると当然ながら妥結は困難になりますので、慎重に見極めましょう。

 

打切りとは、団交継続の必要性がないと判断した場合に、以降の団交への対応を拒否することをいいます。

使用者側から打切りをした場合、相手方は誠実交渉義務違反を主張してくることが大抵です。そのため、かかる主張に反論できるよう、きちんと準備した上で打ち切ることが重要になります。相手方の要求には漏らさず回答すること、回答は結論だけでなく説明も充実させ、必要に応じて資料の添付もすること、完全に打ち切る前に相手方に継続について反論する機会を与えることなどが考えられます。

その上で、交渉の経緯やこれ以上の妥結が困難と思われる事情を説明して打ち切ることで、一方的に打ち切ったのではないといえるだけの対応を講じておくとよいでしょう。

 

紛争は水物であり、必ず正解といえる対応があるわけではありません。それでも、これまでお話してきたような最低限の対応法が、深刻な事態を回避する一助となれば幸いです。

 

Atty’s  chat

先日、出張で山口県を訪れた際に、せっかくなので追加で2泊して県内をサイクリングしてきました。宿泊地の湯田温泉から秋吉台を抜けて萩までを往復する、山口県を縦断するコースです。秋吉台の素晴らしい自然と、萩の歴史残る街並みに大 変感銘を受けました。また、宿泊地近くにある瑠璃光寺の五重塔も素晴らしかったです。ご飯も美味しく素敵な所でした。                                                                                                            (2022年9月21日 文責:越田洋介)