会社に役立つ刑事豆知識(1)

前回まで、写真をテーマにして、知的財産のお話をメインにコラムを書かせて頂いておりました。

今回から、心機一転「会社に役立つ刑事豆知識」と題しまして、会社経営の中にどのような刑事リスクが存在しているのか、具体的な事件や、お客様から日ごろ頂く疑問を取り上げさせて頂きながら、解説していきたいと思います。

 

初回は少し、ライトな内容から入らせて頂きます。

弁護士をしていますと、債権回収のお手伝いをさせて頂くことがございます。交渉でうまくいかなければ、最終的に支払督促や訴訟を起こしていくことになりますが、債務者の資力がほとんどなく、取引口座に強制執行をかけても、残念ながら、空振りという結果になることがございます。

私もその都度、お客様と一緒に、何かうまい方法はないかと考えるところなのですが、その打ち合わせの中で、「相手は結局タダ同然で商品を取引したことになるので、泥棒にはならないのでしょうか?」というご質問を頂くことがございます。

 

仰りたくなるお気持ちはもっともだと思います。確かに、もし相手が代金を支払う気が全くないのに商品を買ったりすれば、注文した時点で詐欺罪になり、立派な刑事事件になるでしょう。詐欺と言えるのであれば、刑事事件化をちらつかせながら、債権回収の交渉材料になるかもしれません。

しかし、代金を全く支払う気がなかったことを証明するのは大変困難です。また、取引時にキャッシュが無くとも取引をすることは、会社の運営上ありえることですので、決して代金を取引時点で払うつもりが無くて取引をするケースは多くありません。

このようなことから、取引後に会社が不払いを起こすほとんどのケースは、刑事事件として扱われず、民事事件として考えていくほかないと言えるでしょう。

 

今回からのコラムでは、私が立てたトピックをお話するだけでなく、お読みになって頂いている方々から素朴な疑問を頂き、いくつか選定してご紹介出来ればと考えております。

 

物好き弁護士のつぶやき

先日、横須賀にスカジャンを見に行ってきました。「スカ」とは横須賀のことであり、アメリカ軍兵士がオリエンタルな柄の刺繍をシャツやジャケットに入れて欲しいと服屋などに頼んだことが発祥と言われているそうです。手縫いの刺繍を施したオーセンティックなスカジャンが、現地の「どぶ板通り」では販売されていました。価格も3、4万円代のものがあり、中々本格的です。私はといえば、小さいバラの刺繍が入ったシャツが素敵だったので、そちらだけ頂いて、街を後にしました。                                                                                                            (2022年7月20日 文責:原田大士)