債権回収編 【「譲渡担保」でお金を回収する方法2】
前回、譲渡担保をつけておいて、なおかつ契約書で実行方法を明記しておけば、勝手に売って換金して清算できる話をさせていただきました。
しかしながら、債務者が倒産(破産・民事再生・会社更生など)した場合は、少し話が変わってきます。今回は、まずは破産した場合について解説をします。
そもそも、「倒産したときに備えて担保に取っておこう」いう意図で譲渡担保を取得しているでしょうから、倒産手続でも他の債権と比べて優先されています。破産法では譲渡担保権は、「倒産手続きから特別に除外された権利」を略して「別除権」と呼ばれています。別除権は原則として倒産手続にかかわらず自由に実行することができます。
しかしながら、破産は、破産管財人という裁判所から選ばれた弁護士が、全債権者に平等に財産を分け与える制度です。譲渡担保権をもつ債権者ではなく、破産管財人が、譲渡担保のついた財産を処分することがあります。
たとえば、破産手続の中で、譲渡担保のついている製品を高額で購入したいという取引先が現れたとき、破産管財人が、譲渡担保権者と交渉(「これだけ高い金額で売れることはないですよ。一部差し引いても、良い条件だと思いますよ」という話をします。)の上、その対価の一部を他の債権者に分ける財産にして、残額を譲渡担保権者に渡すということがあります。
なお、譲渡担保から回収できない残額については、他の債権者と同じく、破産手続のなかで平等の割合で配当を受ける形となります。
次回は、より複雑な民事再生・会社更生の際の取り扱いのお話です。
週末のおでかけ日記
週末は妻のご両親と一緒に、娘を連れていちご狩りをしに行きました。木曜日から積雪の予報でしたが、ドライブにも支障はなく、良い天気の中、いちご狩り会場まで行くことができました。
しかしながら、会場に着くと、いちご狩りが一人1800円である一方、隣に大きめのいちごが一箱2200円で売られており・・・。家族一同、どうにもいちごを狩る気力を失ってしまいました。結局はいちごを狩らずにいちご一箱を購入し、1歳の娘にはいちごのどら焼きを食べて満足してもらって帰宅する運びとなりました。
(2022年2月15日 文責:杉浦智彦)
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