残業に係る注意すべき法改正
近年、働き方の見直しが進み、労働条件に係る関連法令の改正や新たな立法が目立ちます。企業として、全ての改正等を確認することは難しいでしょうが、重要なものはしっかりと把握しておく必要があります。そこで、ここでは、多くの企業が対象となるであろうものをピックアップし、解説します。今回は、残業代の法定割増賃金率についてです。
現在、労基法では、時間外労働に対する法定割増賃金率は、月60時間までは25%以上、60時間を超えた分は50%以上と規定されています。
もっとも、この規定の中小企業への適用は長年猶予され、中小企業においては60時間を超えた分に関しても25%以上でよいとされてきました(中小企業かは、資本金額又は従業員数で判断します。例えばサービス業では、資本金額が5,000万円以下又は従業員数が100人以下の会社が中小企業となります)。
ところが、近年の働き方改革関連法の成立に伴いこの猶予措置が廃止され、2023年4月からは、中小企業においても60時間を超えた分の時間外労働に対する法定割増賃金率が50%以上に引き上げられることになりました。これにより、これまでは一律で25%の割増としてきた企業においても、今後は正確に労働時間を把握し、時間に応じた割増賃金率を乗じる必要があります。
仮に23年4月以降、60時間を超えた分も25%の割増として計算してしまった場合、50%に足りない部分に関しては未払賃金が生じている状態となるため、注意を要します。
これに備えて中小企業としては、労働時間を適正に把握できるよう勤怠管理システムの見直しを進める、さらなる業務の効率化を図り時間外労働の低減に努める等の取組み重要となってくるでしょう。
Atty’s chat
先日、埼玉県は秩父地方へ行き、弓立山という小さめの山を自転車でヒルクライムしてきました。山頂は標高600m程度ですが、とても眺めがよく、癒されました。秩父方面は横浜からのアクセスが良く、走っていて楽しい道も多いので、サイクリングにもお勧めです。
コロナ禍でサイクリング人気が高まっていると聞きます。皆さんもこの機にいかがでしょうか。
(2022年1月25日 文責:越田洋介)
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