会社で写真を用いることのメリット・注意点(8)

前4回は、写真を広告に掲載する際の、表示規制についてご紹介してきました。
 
今回から、著作権法のお話を再び出来ればと思います。

 

絵や写真、ポスターを、家やオフィスに飾ることがあると思います。中には、お子さんが描いた絵などを飾る方もいらっしゃるでしょう。今回は、その室内の様子を写真に撮って用いる際の注意点のお話です。

実は、簡単なスナップショットや、子供のいたずら描きであっても、法律では一つの著作物になります。著作物ということは、作成した人の著作権があるということです。

 
さて、家具メーカーやインテリアデザインの業者が、サンプルやモデルとして室内内装を写真で撮り、それを宣伝広告などで使うとします。その際に、有名な作家の絵や、プロの写真などを配置し内装と組み合わせて撮影することに、問題はないでしょうか。

社員のスナップショットや、身内のお子さんの絵であれば、軽く話を通しておけば問題ないでしょう。しかし、作家の絵や、プロの写真は明らかな第三者の著作物です。 

はっきりと写っている形でそれらを使って写真広告を作れば、それはその作品の効果を使って内装の宣伝広告等をしていると思われてしまう可能性があり、作家や制作者が、「作品を勝手に使わないで欲しい」と言ってくるリスクが出てきます。

 

ですから、他人の著作物を広告写真の被写体の一部として撮影して用いる際には、その絵や写真の著作権を持っている人に許可を貰うことが本来は望ましいです。

しかし、この原則がどんな場面でも適用されると、困ってしまいます。会社で社員の集合写真を撮ったら、後ろに大きな絵が飾ってあり、その写真をサイトでアップする際に常に作家の許諾を取らなければならないとしたら、変ではないかと思ってしまいます。

 

次回は、許可なく他人の著作物を撮影できる可能性を探っていきたいと思います。

 

物好き弁護士のつぶやき

最近、「仕事猫」というキャラクターが流行っているそうです。作業現場のヘルメットを被った猫が、ポーズをとって何かつぶやいているという絵のキャラクターです。
今回ご紹介した理屈と同じことで、ネット上で他人が挙げている写真や絵を流用すれば、それも著作権法違反になります。しかし、この「仕事猫」、元々誰かがアップした猫の顔の絵を、他人が下半身のポーズを付けたり、ヘルメットを被せたりしていったことで生まれてきたキャラクターだそうです。様々なユーザーに流用された上、著作権法違反などものともしない創作がネットで起こることには、いつも驚かされます。可愛いので是非チェックしてみて下さい。

 (2022年1月17日 文責:原田大士)