債権回収編 【「譲渡担保」でお金を回収する方法1】

この回からは、商品の「譲渡担保」を使ってお金を回収する方法を解説します。債務者が倒産する前に譲渡担保で回収する場合の解説をします。

 

「譲渡担保」というのは、「貸金等の債権を担保するため,譲渡担保契約(設定契約)により債務者所有の動産の所有権を債権者に移転する」ものです。もしお金を払わない場合は、債権者は(強制執行などをせず)所有権を確定的に引き受けることができます。

実は、譲渡担保をどのように実行(=現金化)するかについては、法律で明確に記載されていません。そのため、譲渡担保契約で、どうやって譲渡担保を実行するかを記載する必要があります。

 

実務でよく使われている契約条項だと、①債権者が処分しやすい場所に商品を移動してもらう、②債権者が商品を売却する、③処分費用を差し引いた残額を債権に充当する、④余剰があれば債務者に返金する(なければ清算不要の通知をする)という4ステップを行うことが多いです。当然、債権者が(相見積もりを取った上で)それより有利な金額で評価して精算することも可能です。

 

なお、「所有権を譲ってもらったんだから、差額の清算は不要じゃないか?」という疑問もよくわかるところです。しかしながら、裁判所は、「あくまで担保でしょ」という理由で、清算は必要だと判断しています。

 

以上は、倒産する前の段階での現金化の方法です。実は、倒産(とくに民事再生)の場合は、再生に必須な機器に譲渡担保が付いていることがあり、勝手に売られないようにしないといけないという要請もあって少し方法が変わってきます。

それは、次回解説します。

 

週末のおでかけ日記

年末ですね。急に寒くなったので、まだ本格的な衣替えをしておらず、先週は急いでクローゼットからダウンジャケットを持ち出しました。

こう寒いと、熱燗が美味しい季節になってきます。「HARIO (ハリオ) コニカルSAKEピッチャー」というレンチン燗のできるフラスコみたいなものを導入し、一合くらいの酒を600Wで一分程度チンして楽しんでいます。週末は、事務所近くの酒屋で「醴泉 酒無垢 純米吟醸 生原酒」という酒を購入し、チンしていただきましたが、なかなか美味でした。

                                                                                                                (2021年12月21日 文責:杉浦智彦)