改正民法と契約書

昨年施行の改正民法により、一定の契約において保証人を付ける場合の新たなルールが設けられました(民法465条の10)。

今回はこのルールについて解説します。

 

契約の典型例としては以下のような場合があります。

【取引先の会社と売買取引を継続するにあたり、売掛金の回収を確実にするために、取引先会社の社長の父親に連帯保証人となってもらった】

 

このように、事業のための債務(上の例では取引先会社の買掛金)を個人(社長の父親)が保証する契約においては、契約当事者に一定の義務が課されます。

その内容は、主債務者(取引先会社)が保証人(社長の父親)に対し、会社の財務状況や他の借金の有無といった情報を提供しなければいけないというものです。この情報提供を怠っており、かつそれをこちらが知っていた場合などには、保証契約が取り消されてしまうおそれがあります。

 

そのため、契約書ではこの点をカバーするための条項を盛り込むことが大切になります。

設けるべき条項は、上の例でいうと、「取引先会社は保証人に対して財務状況等の情報を提供し、保証人は情報の提供を受けたことを確認する」といった趣旨の条項となります。これにより、情報提供が行われたことを明らかにしておくわけです。

このような条項を盛り込んだうえで契約を締結しておけば、後になって保証契約の有効性が問題になることを防ぐことができるでしょう。

詳細な条項の内容については個々の契約に即して作成する必要があるため、契約書作成時にお悩みの場合は弊所までご相談ください。

 

Atty’s  chat

家でカクテルを作るのが好きで、色々なお酒を買い求めています。インテリアとなるような綺麗なボトルのお酒が特に好みで、現在のお気に入りは「スター・オブ・ボンベイ」というジンです。セミナー等でお会いした際に、皆さんの一押しをお聞きできれば嬉しいです。                                                                            (2021年11月30日 文責:越田洋介)