時事ネタを切る(6)

色々と意見のあるワクチンも、だいぶ浸透してきましたね。私の周りも、希望者はほとんど2回接種している状況です。私はまだ一回ですが。。。飲食店や小売店など、顧客に近い業態では、このワクチン接種を、コロナ禍からのV字回復の起爆剤にしようとしています。

そんな中で、居酒屋大手のワタミさんや、家電量販店大手のノジマさんは、「ワクチン接種済み名札」を導入するとぶち上げ、話題になりました。結局ワタミさんは様子見ですが、ノジマさんは導入し、お客さんからも好評のようです。

 

実際、私も同種の相談を受けるのですが(スタッフに接種状況を聞いて、「全員接種済み!」と看板を出したい、みたいな相談です)、法的には結構難しい問題があります。
まず、ワクチンの接種状況は個人情報ですから、それを聞き、さらに外部に表示するには、個々の同意が必要です。もちろん、無理やり摂取させたり、勝手に公開してしまうということは考えにくいでしょう。

 

しかし、例えば、30人のスタッフのうち、29人が「接種済み」名札をしていて、1人が名札をしていなければ、その1人は接種していないような印象を受けます。こうなると、各スタッフに対して、接種の有無についてカムアウトを強要しているのとほぼ同様です。「打ったかどうかを言いたくない」という選択肢を事実上除外してしまうことになります。ワタミさんが、方針を発表したにもかかわらず取りやめたのもこの理由だと思います。ノジマさんも、実行に移しながらも「あくまで希望するスタッフにのみ配っている。使っている人数も把握していない。」としていて、あくまでスタッフが自発的に希望しているという立ち位置を明確にしています。

 

私も今現在、ワクチン接種が嫌で急遽退職した、というスタッフとのトラブルを扱っていますが、もはや価値観の問題になるので、なかなか難しいところです。ワタミさんやノジマさんは上場企業ですが、事実上オーナー企業なのでこういった思い切った施策ができますが、一般的な上場企業は株主や利害関係者が多すぎて、なかなか難しく、結局は無難な対応に終始せざるを得ません。

何でもかんでも国に委ねるのは間違いだと思っていますが、「ワクチンパスポート」も具体的になるわけですから、ワクチン接種の表示についても、ある程度交通整理がなされることを期待しています。

 

グルメ弁護士のつぶやき

やっと時短が明けましたが、業界では、まだまだ自粛の影響が続くだろうと考えられています。また、第6波もどうせ来るでしょうし。外食が一般的でない時代になったとしても、地元のお客様に選んでいただける店づくりを行って参ります。年末にかけて、新しい武器を導入予定です!乞うご期待(笑)                                    (2021年10月25日 文責:石﨑冬貴)